トマトのリコピンがアルツハイマー病の発症を抑える

トマトのリコピンがアルツハイマー病の発症を抑える

トマト

 

トマトが赤くなると医者の顔色が青くなる。
トマトのある家に胃病なし。
1日1個のトマトは医者を遠ざける。
トマトは医者要らず。

 

トマトにまつわる、いくつかのことわざです。トマトといえば赤色の色素、カロテノイドの一種でリコペンとも呼ばれる「リコピン」が有名です。リコピンは抗酸化力が強く、βカロテンの2倍、ビタミンEの100倍といわれています。

 

抗酸化力の強いリコピンは、血液をサラサラにしたり、血糖値をコントロールしたり、肥満を抑制、がんの発生を抑える作用もあります。赤い色素なので、黄色や緑、ピンク色より、真っ赤になった赤系のトマトに多く含まれています。

 

なにより最近の研究によって、アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の発症を抑えたり、学習・記憶能力の衰えを防ぐなどの働きがあることもわかってきました。

 

ここでは、トマトがどのように認知症の発症を抑える、進行を遅らせるのか。また効果的な摂取方法をお教えします。

 

 

 

【トマトの栄養素】

 

トマト缶

 

トマトはビタミンやミネラル類がまんべんなく含まれる高栄養食材です。とくにカリウム、ビタミンAやC、葉酸、パントテン酸、ナイアシンが多く含まれているのが特長です。

 

カリウムはナトリウムの吸収を抑え、血圧をふくめた体内の水分バランスを最適な状態に維持するため、塩分の摂りすぎによる高血圧を防ぎます。ビタミンCは風邪の予防や治療、鉄分の吸収を助けたり、糖尿病の悪化を防いでくれます。病気やストレスに対する抵抗力も高めます。

 

うまみ成分のグルタミン酸をはじめ、酸味を感じるクエン酸、リンゴ酸、ペクチン、ルチン、アントシアニンも含まれています。

 

抗酸化物質のリコピン、βカロテン(カロチン)、ビタミンCも豊富。GABAやプロリンなどの含有量が高い品種もあります。ビタミンEにも抗酸化作用があり、老化を予防したり、血液中のリノール酸を増やして中性脂肪や動脈についたコレステロールを落とし、動脈硬化も予防します。

 

βカロテンは体が必要としているときだけ、体内でビタミンAに変化します。ビタミンAは夜盲症を予防したり、皮膚や粘膜、眼の健康、ストレスへの抵抗力を保つためにも欠かせません。

 

食べ方は、丸かじり、サラダ、煮る、焼く、炒めるなどさまざま。ただし、リコピンは加熱することで体に吸収されやすくなります。さらにリコピンは油に溶けだすので、オリーブオイルと一緒に加熱・調理・摂取するのがおススメです。

 

 

 

【抗酸化物質とは】

 

呼吸

 

抗酸化とは、酸化に抗うこと。抗酸化物質とは、体を酸化から守る物質です。

 

わたしたち人間の体は、呼吸によって20%の酸素を消費し、エネルギーを得て活動しています。そのとき、酸素の2%は体内で活性酸素に変化します。

 

この活性酸素。他の物質を手当たりしだいに酸化させる性質があります。体外から体内に侵入してきた細菌や病原体を殺してくれる一方、脂肪などの体に必要な細胞にも結びついて酸化させます。体がサビるとは老化や酸化のこと。

 

抗酸化物質は、活性酸素と結合してみずから酸化し、細胞に害が及ばないようにします。これが抗酸化作用です。抗酸化物質は野菜などに含まれていますが、現代人は野菜をあまり食べません。

 

そこで抗酸化物質を体内に補うために、野菜や果物を積極的に食べる必要があります。

 

 

 

【アルツハイマー病の予防にトマトを食べよう】

 

トマト

 

アルツハイマー病は、脳が萎縮することでひきおこされます。萎縮(いしゅく)とは、衰えしなびて縮むことです。

 

原因は、アミロイドベータとタウタンパクという2つのタンパク質が関与しています。どちらも健常者の脳に存在していますが、通常なら自然に分解されるのですが、アルツハイマー病の患者は蓄積し、脳が萎縮します。

 

トマトにはリコピンのほかに、ルチンとアントシアニンという成分が含まれています。この2つの成分も、アルツハイマー病の治療に効果があるかもしれないという論文があるので紹介します。

 

>>ルチン

 

ルチンはフラボノイドという種類のひとつで、血液をサラサラにする効果があります。蕎麦にも多く含まれており、ラットの実験でルチンは高脂肪食にダイエット効果を発揮し、肝臓まわりに脂肪をつきにくくする可能性がわかっています。

 

ヒトの実験では、2型の糖尿病患者50人がルチンの摂取で体重とLDLコレステロールが減少しています。またルチンの摂取をやめたあとも体重増加がなく、コレステロール値も良い値に保たれています。

 

肉料理をよく食べるひと、コレステロール値が高いひと、糖尿病を患っているひとは、トマトを食事に取り入れましょう。

 

いくつかの研究結果から、ルチンの抗酸化作用がアミロイドベータの凝集(散らばったり溶けたりしていたものがこり固まること)を防いでいるのではないかと考えられています。

 

(ルチン摂取後の体重、BMI、コレステロール値の変化 LDL LOWERING PROPERTIES OF RUTIN IN DIABETIC PATINTS より)

 

シャーレで培養された細菌

 

培養した神経細胞にルチンを添加した実験では、添加しなかった場合は12時間ほどでアミロイドベータが凝集したのに対し、ルチンを添加したほうはアミロイドベータの凝集が抑えられました。また、活性酸素の発生についてもルチンを添加した場合は抑えられていました。

 

ルチンやアントシアニンはマウスの実験によって、その記憶力の改善効果が確認されており、アルツハイマー病への効果が期待されています。

 

マウス

 

水を張った水槽に透明な台を設け、水の中に入れられたマウスが透明な台をみつけて退避するまでの時間を測定する実験をしました。

 

記憶力に問題のないマウスは1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と透明な台にたどりつく時間が短くなります。しかし、アルツハイマー病のマウスは何度やっても時間を短縮することができません。

 

正常なマウス、アルツハイマー病のマウス、ルチンを与えたアルツハイマー病のマウスの3種で実験をしました。ルチンを与えたアルツハイマー病のマウスは、透明な台にたどりつく時間が短縮されたのです。

 

この結果から、すでにアルツハイマー病が進行したマウスでも、ルチンを摂取することにより記憶力が改善されたことがわかりました。

 

ブルーベリー

 

>>アントシアニン

 

ブルーベリーやトマトに含まれる色素のアントシアニン。フラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られています。

 

アントシアニンにもアルツハイマー病の症状を改善する可能性があります。マウスを使った実験でも、アントシアニンでマウスの記憶力が改善されました。人に対する実験でも4か月ほどで記憶力の改善がみられたという結果もあります。

 

最近の研究により、アントシアニンにもアミロイドベータタンパク質の生産を抑制している可能性のあることがわかりました。

 

>>GABA

 

トマトには、記憶力や認識能力を改善する作用が確認されたGABA(ギャバ)も含まれています。GABAは記憶力に関する成長ホルモンを増やす可能性があります。

 

GABAが認知症を改善する可能性は世界中で研究されています。日本では横越英彦農学博士が2008年にラットを使った動物実験をしました。この実験によれば、外部から摂取したGABAは脳内には吸収されないものの、脳神経の再生を促進する可能性があるとしています。

 

人を対象にした研究では、GABAを摂取したグループの人たちは作業のストレスに対して、抵抗性がより強くなっていることもわかりました。

 

 

 

【生食よりトマトジュースでの摂取が効果的な理由】

 

トマトジュース

 

トマトの赤い色の色素リコピンには、がんや脳卒中、心筋梗塞、糖尿病などの生活習慣病を予防する効果があることがわかってきています。

 

1日に必要なリコピンの量は15mg。これは生のトマトLサイズを2個食べなければいけません。いくら健康によくても、毎日2個を食べるのは大変です。しかし、トマトジュースであれば一缶で十分。なんとトマトジュース1缶にはトマト3〜5個分が入っています。

 

>>生食用と加工用トマトのちがい

 

トマトにはサラダなどにして食べる生食用と、ジュースなどの原料になる加工用があります。

 

加工用には農水省が決めた規格があり、樹についたまま完熟させたもので色やリコピンの量も一定以上のものでなければいけません。収穫も真夏のみ。真っ赤に熟した旬の時期に収穫し、すぐに加工します。新鮮さを保ったまま、さまざまな栄養素が詰まっています。

 

生食用とちがい、遠距離輸送を行うために熟さないうちに収穫もしません。だから加工用トマトは生食用と比較して、リコピンが3倍、βカロテン2倍、ビタミンCが2倍、食物繊維も1.5倍も含まれています。

 

加工されたトマト製品の保存方法は、開栓前なら常温保存。いちど開けたら必ず冷蔵庫にいれ、早めに使い切ります。リコピンは光の当たるところほど早く失われる性質があるので注意が必要です。

 

>>加熱・油に溶けやすいリコピン

 

そもそもリコピンは生で食べても細胞が壊れずに腸でうまく吸収されません。またリコピンは脂溶性といって、油に溶けやすい性質をもっています。

 

だから、イタリアではトマトを切る、加熱する、オリーブオイルを混ぜてグチャグチャにして調理します。オリーブオイルを使った場合と使わない場合、リコピンの吸収量に約10倍もの差があったという報告もあります。

 

>>加熱することで生まれる薬効成分

 

京都大学の河田照雄教授らの研究グループがマウスを使った動物実験で、肥満・糖尿病に13オキソODAという成分が関わっていることを明らかにしています。

 

13オキソODAは生のトマトには含まれておらず、加熱処理されたトマトジュースの中に含まれています。これは生のトマトに豊富な9オキソODAが加工される過程で生まれたものと考えられています。

 

 

 

【リコピンはコレステロールと高めの血圧を改善する】

 

コレステロール

 

コレステロールは脂質の一種で、体内で細胞膜を構成したり、ホルモンの材料になったりする大切な成分です。

 

しかし過剰なコレステロールは血管などに蓄積し、動脈硬化の原因になります。コレステロールを肝臓から全身に運ぶのがLDL、余分なコレステロールを回収して肝臓まで戻すのがHDLコレステロールです。トラックみたいなものですね。

 

リコピンは肝臓でHDLを作る力を高める働きがあります。HDLが増えることで、血中の余分なコレステロールを回収する能力もあがります。またリコピンにはLDLコレステロールの合成を低下させる働きもあり、相対的にHDLコレステロールの割合を高めるのです。

 

 

 

【トマトにも含まれるケルセチンの効果】

 

赤ワイン

 

リンゴやトマトに含まれるフラボノイドの一種「ケルセチン」にも、抗酸化作用があります。

 

ケルセチンは赤ワインにも多く含まれていて、心疾患のリスクを減らすといわれています。さらに認知症を防ぐ効果のあることがわかってきました。

 

ケルセチンの効果は3つあります。

 

・糖尿病由来の高血圧を緩和する
・血栓を防ぐ
・身体能力のアップ

 

です。

 

>>糖尿病由来の高血圧を緩和する

 

糖尿病患者がケルセチンを摂取し続けたところ、血圧が下がりました。副作用の可能性も低く、インスリン濃度や血糖値に影響せずに血圧を下げる効果があります。

 

>>血栓を防ぐ

 

コラーゲンは血小板と血小板を結合させて血栓を生成しますが、ケルセチンはコラーゲンと血小板の結合を阻害して血栓の生成を防ぎます。

 

>>身体能力のアップ

 

ケルセチンは体内のエネルギー生産を促進する作用があります。ケルセチンを摂取し続けると、エネルギーを作り出す細胞内の器官「ミトコンドリア」の活性を高め、身体能力向上の可能性があります。疲労の原因物質でもある乳酸の蓄積も減らします。

 

 

 

【酢トマトジュースの作り方と飲み方】

 

黒酢

 

トマトの食物繊維は水溶性のペクチン。ペクチンは、一緒に食べた脂肪を吸着して消化吸収を妨げます。また血糖値の急上昇を抑えたり、血中のコレステロール濃度を低下させる働きもあります。

 

野菜や果物に含まれる食物繊維は、サッカーのゴールキーパーと同じ働きをします。

 

パンとグレープフルーツを食べる実験をしました。先にパンを食べてからグレープフルーツを食べると血糖値が急上昇しました。食パンの糖質がそのまま腸に吸収されたのです。ゴールの前にキーパーがいない状態と同じです。反対にグレープフルーツを食べてからパンを食べると、血糖値の上昇はゆるやかになりました。グレープフルーツに含まれた食物繊維が腸を守り、糖質の吸収を抑えたのです。

 

九州大学が1961年からおこなっている大規模な疫学調査の久山町研究によれば、糖尿病とその予備軍は2倍も認知症になりやすいことがわかっています。糖尿病の予防や改善は、血糖値の急上昇をふせぐことが大切です。

 

さらに食物繊維の摂取による血糖抑制効果に「セカンドミール効果」があります。朝に食物繊維をとれば昼まで。昼に食物繊維をとれば夜まで血糖値の上昇がゆるやかになります。食事の前にトマトジュースを飲むことで、食後の糖の吸収を抑え、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれます。

 

トマトジュースの効果をさらに高めるのが、大さじ1杯のお酢。お酢にはエネルギー代謝がよくなり疲労回復に効果的で、神経や細胞の働きを高めるアミノ酸が含まれています。

 

酢トマトジュースの作り方は簡単。無塩のトマトジュースをグラス1杯(160ml)注ぎ、大さじ1杯の酢を入れ、かきまぜる。酢は、必須アミノ酸がバランスよく含まれている黒酢を使います。朝食前にグラス1杯を飲むのがいいでしょう。

 

 

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>>特別養護老人ホームで効果が確認されている水飲み療法とは