特養で効果が確認されている水飲み療法とは

特養で効果が確認されている水飲み療法とは

水飲み療法

 

・富山県富山市では2009年より「地域で取り組む水のみ運動」を実施。認知症の予防のために、地域ぐるみで高齢者に1日1.5リットルの水分摂取を推進しています。

 

・杜の風 上原 特別養護老人ホーム正吉苑では、1日1.5リットルの水分補給でおむつ不要に。在宅復帰率はなんと63%。

 

65歳以上の人の認知症とその予備軍の人数は、4人に1人。さらに85歳以上になると2人に1人になります。すでに認知症は身近な問題です。

 

実は「ほとんどの認知症患者は脱水症状をおこしている」と国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁先生はいいます。アメリカ人のうち、75%の人が脱水症だという医師たちもいます。

 

脱水をおこすと頭がボーっとすることが多くなり、以前は興味があったことに関心がなくなります。

 

人間は食べ物がなくても約2か月間生きていられます。しかし水なしではたった数日で死んでしまいます。それだけ水は人間にとって大切。骨の約31%でさえ水分からできています。

 

体内の水分が欠乏すると1〜2%で意識障害がおこり、5%の水分が失われると運動機能、とくに耐久力が低下します。手足に力が入らない、ふらついて転倒しやすくなります。さらに7%になると幻覚が見えるようになります。幻覚は興奮を伴う「せん妄」と呼ばれる状態になることも。そして10%になると死に至ります。熱中症で亡くなるのは、10%の水分が失われることが原因です。

 

体が脱水していると、意識が眠っているために認知症患者は異常な行動を起こす場合があり、水を飲むと意識が覚醒し症状が治まることもあります。

 

ここでは富山市、特別養護老人ホーム、トレーニング教室、デイサービスなどで効果がでている水飲み療法のはじめかた、コツ、注意点などをお教えします。

 

 

 

【高齢者が脱水をおこしやすい理由】

 

熱中症

 

2010年の夏は記録的な猛暑でした。全国で54000人が熱中症で病院にかつぎこまれ、そのうち171人が亡くなっています。総務省消防庁の発表によれば、2018年4月30日から9月30日の約5ヵ月間に全国で95073人が緊急搬送され、死者も160人でした。

 

そして亡くなった人の約半数が65歳以上の高齢者でした。

 

高齢者は脱水をおこしやすい。これは事実です。人間の体内の水分量は加齢によって減っていきます。子供でからだの75%、成人で60%、高齢者で50%と、年齢を重ねるほど水分量が減ります。体重が50キロの高齢者なら25キロが水分の計算です。

 

高齢者は若いときよりも筋肉の量が減ります。体でもっとも水分を蓄えているのは筋肉です。だから筋肉の量が減ることは、体内の水分量も減ることと同じです。

 

そして、どの年齢でも1〜2%の水分を失っただけで意識障害がおこります。体重が50キロの高齢者なら、体内から250〜500mlの水が不足すれば意識障害がおこるのです。500mlといったらペットボトル1本分です。水分の減少が5%に達すると、運動機能が低下します。手足に力が入らず、ふらついて転倒しやすくなります。

 

水分の減少が7%に達すると幻覚が生じます。幻覚は興奮を伴って「せん妄」と呼ばれる状態に。幻覚は統合失調症やレビー小体型認知症でも見られますが、脱水によってもひき起こされるのです。

 

高齢者の平熱は低いため、36.5度を超えると微熱を生じます。発熱すると血液が濃縮されてドロドロになり、脳梗塞もおこしやすくなります。

 

人間は呼吸、排尿、排便、発汗により、1日に2リットル近くの水分を失うと推測されています。体のバランスを保つためには、体から失われた水分と同じ量を摂取しなくてはいけません。

 

喉の渇きを感じなくても。とくに高齢者は意識して水分補給をする必要がわかってもらえたでしょうか。

 

高齢者は1日に1500ml(1.5リットル)の水を飲みましょう。夏場、外に出ることが多いひとは、熱中症対策のために2000ml(2リットル)の水分補給が必要です。糖尿病のひとは、頻尿のために水分が不足しがち。糖尿病のひとは、水分摂取量をふつうの人よりも多い1800ml(1.8リットル)を目安にします。

 

水飲み療法は、水を飲むだけなので基本的に誰でも試して問題はありません。しかし、持病や常用している薬の関係で水分摂取の制限があるひとは医師に相談・指示を受けるようにしてください。

 

 

 

【脱水症のチェック方法】

 

検尿

 

おおざっぱな方法ですが、自分で脱水状態かチェックする方法が4つあります。

 

・尿の色をみる
・皮膚の状態をみる
・指の状態をみる
・体重をみる

 

>>尿の色をみる

 

尿の成分は、水分と尿素、炭水化物、酵素、脂肪酸、ホルモン、電解質など。そして正常な尿の色は透明から薄い黄色。脱水症状になると尿の色が濃くなります。

 

>>皮膚の状態をみる

 

脱水状態では肌のみずみずしさや張りが失せます。手の甲をつまんで離してみましょう。手の皮がすぐに戻らずテント状であれば脱水が疑われます。

 

>>指の状態をみる

 

脱水状態になると血液もドロドロになるため、血の流れも悪くなります。指の爪を5秒ほど押して離します。脱水状態でなければ3秒以内で色が戻ります。5秒以上かかるようなら脱水を疑います。

 

>>体重をみる

 

毎日、決まった時間に体重をはかります。そして記録します。このとき1日に飲んだ水の量も記録します。

 

 

 

【人間にとっての水の働き】

 

水

 

分子レベルでは、人体の99%は水分です。そして、水は人間の細胞を一定の状態に保つ5つの働きがあります。

 

・細胞の機能の活性化
・体温調節
・老廃物の排出
・潤滑油
・分解とエネルギーに変える

 

>>細胞の機能の活性化

 

水はビタミン、ミネラル、炭水化物などの栄養素や酵素を各細胞から出し入れします。

 

>>体温調節

 

風邪をひくと体を温めて汗をかくことで熱を下げました。体温が上昇すると、汗をつくって体を冷やします。

 

>>老廃物の排出

 

排尿、排便、発汗によって体外に老廃物を排出する。

 

>>潤滑油

 

水は頭蓋内の衝撃を吸収して脳を守る。ほかにも眼、鼻、口を潤す。

 

>>分解とエネルギーに変える

 

水は人が食べた物をエネルギーに変換したり、体に不必要な物を体外に排出することに役立つ。

 

 

 

【水分が不足すると脳梗塞もおきやすくなる】

 

脳梗塞

 

人間は呼吸、尿、便、汗で毎日1500ml(1.5リットル)の水分が失われています。失われた水分と同じ量を補給する必要があります。さらに、そこから2%(500ml)の水分が失われるだけで、意識がぼんやりします。

 

高齢者は明け方に脳梗塞を起こす人が増えることがわかっています。寝ているあいだに汗で水分が失われて血液がドロドロになり、血の巡りが悪くなるのが原因です。寝ているあいだに水分補給はできません。だから寝る前と起きてすぐにコップ一杯の水を飲んで水分を補給する必要があるのです。

 

なお寝る前に水を飲むとトイレの回数が増えると心配する人がいます。富山市の水飲み運動では、講演に集まった800人の高齢者に「トイレの回数が増えたか」「夜、トイレに起きる回数が増えたか」と質問したところ、手をあげたのは2人でした。なによりも脳梗塞で死ぬくらいなら、トイレに起きたほうがマシではありませんか。

 

さらに水をよく飲むことで便秘も改善します。便秘は、水が不足して便が硬く小さくなるためおこります。便が硬く小さいと腸が刺激されないため、脳に大便をしろという指令も届きません。

 

 

 

【水飲み療法のはじめかた】

 

水飲み療法

 

1日に1.5リットルの水分補給といっても、いっぺんに水を大量に飲んではいけません。過剰の水分摂取で水中毒をおこしかねないからです。大量の水が血中のナトリウム濃度を下げます。

 

こまめにちょこちょこ水分を補給しましょう。

 

水分は「水」にかぎりません。緑茶、紅茶、コーヒー、牛乳やトマトジュース、スポーツドリンクや甘いジュースでもかまいません。いろいろな種類の飲み物で、無理せず楽しく水分補給してください。

 

ただし、スポーツドリンクには糖質や塩分が多く含まれています。スポーツをしない人には糖分も塩分も摂りすぎになるかもしれません。もしも夏場にスポーツをするのであれば、具なしの薄い味噌汁がおすすめです。味噌によって塩分が摂取できるうえに腸内環境も整います。

 

またビールなどのアルコール(酒)は水分に数えません。むしろ体内の水分を奪ってしまいます。また肥満ぎみ、糖尿病のひとは糖分のはいったジュースを避けます。無糖のものを飲んでください。水分を嫌がるお年寄りや水が飲みづらい場合、ゼリーや寒天など、水をたくさん含むおやつで水分をとりましょう。寒天は食物繊維なので便秘の解消にも役立ちます。

 

富山県富山市の水のみ運動では

 

・朝、起床して目覚めの一杯
・朝食のときに一杯
・出かけるまえに一杯
・お出かけ中にも一杯
・昼食のときに一杯
・帰宅したら一杯
・夕食のときに一杯
・入浴前と入浴後に一杯
・寝るまえに一杯

 

を推奨しています。

 

コップ一杯が200mlとして、1日に合計10杯(約2リットル)の計算です。

 

外出時はペットボトルや水筒に好きな飲み物を入れてでかけます。喉の渇きを感じるまえにこまめに水分をとるようにします。

 

そして1日に飲んだ水の量をノートに記録します。あわせて排便回数や運動の有無、体調や気分も記録しておけば、変化がわかりやすくなります。水の効用がはっきりすれば、介護者の励みにもなります。

 

 

 

【水を飲むことでトイレの回数が増える利点】

 

小便小僧

 

水を1日に2リットル近く飲むようになればトイレの回数が増加します。これは利点、メリットです。

 

仕事中や自宅ならデスクから離れ、テーブルから立ち上がりトイレに移動することになり、簡単な運動になります。無理なく血液と酸素を体中に送るのです。飛行機内で動かない旅行者ならエコノミー症候群の予防になります。2時間に1度はトイレに行くべきだという医師もいるくらい。

 

なによりも腎臓でろ過された不要なものを体の外に排出することができます。排尿は膀胱にとっても良いことです。

 

また水分補給は眠りを改善する効果があります。口と鼻の湿度を保つことでイビキを減らしたり、早朝の脳梗塞、こむら返りの予防になります。そして寝ているあいだに体の解毒がされます。水はその中心的な存在です。アルツハイマー病をおこすベータアミロイドたんぱく質も睡眠中に脳から取り除かれます。

 

 

 

【食べる水 チアシードの活用】

 

チアシード

 

チアシードは「チア」という南米原産の植物の種。シソ科サルビア族の一種です。

 

体内で合成できない必須脂肪酸の「オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)」が豊富に含まれています。スプーン1杯・10グラム程度で1日の目標摂取量がほぼ達成できます。

 

味も香りもほとんどないため、そのまま食べても料理にも使いやすく。ただし、オメガ3脂肪酸は酸化しやすく、熱に弱いことを覚えておいてください。できるだけ生で食べましょう。サラダにふりかけるなどして食べるのがおススメです。温かい料理に使いたいときも、粗熱をとってから加えます。加熱しても、オメガ3脂肪酸以外の営業素は問題なく摂取できます。

 

吸収をよくするためによく噛んで食べることがおススメです。またチアシードのみを大量に食べるとおなかの中で固まってしまうことがあるため、水分も一緒にたっぷりとりましょう。

 

チアシードを日常的に食べていたメキシコの先住民は、心臓病や糖尿病などの病気に悩まされることがなかったといいます。また別名ランニングフードとも呼ばれ、アステカ民族はチアシード小さじ1杯と水だけで24時間走り続けることができたそうです。

 

近年の栄養学的な研究で、チアシードには人の健康維持に必要なたくさんの栄養素が含まれていることがあきらかになりました。そのため、アメリカではアメリカ食品医薬品局(FDA)に認定されています。

 

チアシードはミネラルが豊富。鉄分はホウレンソウの約3倍、カルシウムは牛乳の約4倍、食物繊維も玄米の約10倍、そして亜麻仁油やえごま油に含まれるオメガ3脂肪酸はサーモンの約14倍も含まれています。

 

水溶性の食物繊維が多く、水を吸って約12倍に膨らみます。大腸の水分を蓄えることで、普通であれば大腸から水分が吸収され頻尿になるところ、腸に保水するので脱水になるリスクも低く。

 

チアシードが「食べる水」と呼ばれるゆえんです。

 

 

 

【チアシードを買ってみました】

 

チアシード

 

チアシードはインターネット通販で購入できます。値段はピンからキリ。

 

わたしも900グラムの黒いチアシードを楽天にて1080円・送料無料で購入しました。届いたのでさっそくレビューします。

 

味も香りもほとんどしません。またチアシードには黒と白がありますが、栄養成分には特に違いがありません。白いほうが水にふやけやすいようです。

 

食べるときはよく噛んでたべてください。殻が破れて栄養素がしっかり摂れます。食べるタイミングは朝の食前。おなかのなかでふくらみ、満腹感も得られるためダイエットにも最適です。

 

食べる量は1日大さじスプーン1杯(10グラム)程度で。食物繊維をとりすぎると便秘になります。開封したものは、高温多湿を避け1か月以内に使い切りましょう。

 

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