高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防・改善する
【20代からアルツハイマー病は発症している】
認知症のなかで一番多いのが、アルツハイマー病です。全体の6割とも7割ともいわれています。
実は・・・アルツハイマー病は、発症の25年前から進行していることが最新の研究で判明しています。
アルツハイマー病の患者を長期間、追跡・観察をした結果、アルツハイマー病の原因がわかりました。それが、脳内の「アミロイドβ(ベータ)」と「タウ」の量です。
脳の神経細胞で作られるたんぱく質「アミロイドβ」は、脳のゴミ。老廃物です。正常な人は、睡眠などで老廃物として脳から出て行きます。
しかし、アルツハイマー病患者の脳からはアミロイドβが排出されず、脳内に蓄積することがわかりました。一方、タウは発症の15年前から増えはじめます。
アルツハイマー病の特徴として、記憶をつかさどる海馬が小さくなっていくことがあります。海馬も発症の15年前から小さくなりはじめます。そして発症10年前から、記憶力が衰え、発症すると日常生活に支障が出るほどの物忘れが表れるのです。
この脳のゴミであるアミロイドβは、アルツハイマー病が発症する25年前から脳にたまりはじめます。
つまり、アルツハイマー病が発症したときは末期かもしれません。そこで、高齢者でなくてもアルツハイマー病の予防をする必要があります。
【海馬を大きくする効果がある運動】
アルツハイマー病になると、記憶をつかさどる海馬が委縮します。脳が小さくなります。
海馬は通常、1年に1〜2%縮小します。現在、海馬を大きくする薬はありません。
しかし、アメリカの大学の研究によれば運動を1年間続けたグループは、海馬が2%大きくなりました。
ズバリ「運動」は認知症に効果があるのです。
【認知症が激減したイギリス】
イギリスでは、認知症になる人の割合が減っています。その理由は、生活習慣病の改善でした。
イギリスでは心臓病や脳卒中が死亡原因の上位を占めていました。そこで、心臓病や脳梗塞の対策として、高血圧や減塩、糖尿病、禁煙の指導を行った結果、認知症が23%も減少したのです。
高血圧の対策に効果があるのは減塩。日本人も塩分の摂りすぎが問題視されていますが、高血圧は認知症のきっかけにもつながっています。
また喫煙は動脈硬化をひきおこし、血管を傷つけます。イギリスの認知症予防の標語に『心臓によいことは頭によい』があります。心臓病、糖尿病、腎臓病が認知症につながると考えているのです。
肥満やメタボリックシンドローム(メタボ)な人は、脳血管性認知症の原因となる高血圧や糖尿病から動脈硬化になり、脳梗塞を引き起こします。
【認知機能を25%向上させたフィンガープログラムの内容】
フィンランドとスウェーデンの研究所が共同して行った認知症予防の研究「フィンガープログラム」。
このフィンガープログラムによって、認知機能が25%向上、処理速度は150%も改善しました。
フィンガープログラムの内容は以下のとおり。
・早歩き、筋力トレーニングなどの運動
・塩分や脂肪をひかえ、野菜・果物・魚を増やした食事
・記憶力ゲームなどの認知トレーニング
・血圧管理、健康診断、健康相談など健康管理
これら生活改善を行ったため、健康指導だけのグループよりも結果がでたのです。
日本でも介護施設や病院などで、認知症の人に運動療法が取り入れられています。
ウォーキングなどの軽い運動をすると、症状の進行を遅らせる効果があるといわれています。また、軽い運動はストレス解消、イライラ感を軽くする効果もあります。一人暮らしの方は、家族やホームヘルパーさんに付き添ってもらい、散歩するのもいいでしょう。
【認知症が進行しやすい体型がある】
軽度認知障害(MCI)とアルツハイマー病への進行と肥満の度合いを示す体格指数BMIの関連をイギリス・ミラノ大学が追跡調査しました。
結果として、BMIが高い人は認知症やアルツハイマー病の危険度は低く、痩せすぎの人は認知症全体で危険度が高いかわりにアルツハイマー病では関連がみられませんでした。太りすぎると生活習慣病、痩せすぎれば認知症が心配になります。
糖尿病とその予備軍は疫学調査「久山町研究」によれば、2倍も認知症になりやすいことがわかっています。糖尿病は予備軍のうちから食事で血糖値をコントロールすることが重要です。
【日本でアルツハイマー病が急増する原因は糖尿病】
日本人の国民病とも呼ばれる高血圧ですが、2000年代では高血圧の人の割合は40%と横ばいになっています。つまり、高血圧の人は増加していません。
一方で増加しているのは肥満、高コレステロール血症、糖尿病でした。これらはどれも血管を傷つけ、動脈硬化を引き起こします。
研究の結果、糖尿病になるとアルツハイマー病になる危険度は2.1倍になることが判明しました。
なぜ糖尿病になるとアルツハイマー病になるのか。
それは、たくさん食べると血糖が上がります。上がった血糖を下げる働きをするのがインスリンです。このインスリンを片づけるのがインスリン分解酵素です。インスリン分解酵素には、アルツハイマー病の原因物質の「アミロイドβ」を分解する効果があります。
つまり、糖尿病になると脳のゴミであるアミロイドβを掃除している時間がインスリン分解酵素にありません。結果、脳にアルツハイマー病の原因物質アミロイドβがどんどん溜まって、アルツハイマー病が発症しやすくなります。
また、糖尿病の人はインスリン分解酵素の分泌量が少なくなっていることも多く。専門家の中には、アルツハイマー病を3型糖尿病と呼ぶべきではないか、との意見もあるくらいです。
【自宅での健康管理の目安】
家庭用の測定器を使い、血圧や血糖値をこまめにチェックします。
高血圧の場合、収縮期血圧120mmHg、拡張期血圧80mmHgを維持。糖尿病では血糖値が空腹時で100g/dl以下をめざします。
【たばこを吸う人は認知症になりやすい】
福岡県久山町の住民を対象に1961年から続く生活習慣病の疫学調査によれば、喫煙がアルツハイマー型と脳血管性のどちらのリスクも高めるとの結果がでています。
結果からいえば、喫煙者のアルツハイマー型の発症率は非喫煙者の2.7倍、血管性は2.9倍にもなります。
喫煙によって血中に有害物質が流れ、血管を狭く硬くし動脈硬化をおこします。狭くなった血管では血流も悪くなり、新鮮な酸素と栄養素を運ぶことができなくなります。
脳の神経細胞が損傷を受けることで認知症の発症のリスクが高まります。
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