コグニサイズがMCIに効果あり

コグニサイズがMCIに効果あり

 

【脳に刺激を与える有酸素運動】

 

 

アルツハイマー病は、脳の海馬が小さくなっていきます。しかし、運動によって海馬が大きくなることが研究でわかっています。

 

とくにジョギング、水泳、ウォーキングなどの有酸素運動は、脳の委縮を防ぎ、認知症予防や改善の効果が期待されています。

 

有酸素運動とは、筋肉にある程度の負荷をかけ、酸素を使いながら体脂肪を燃焼させる運動のこと。有酸素運動をすることで、筋肉からの刺激で神経細胞の分泌を促すたんぱく質が増加し、脳が活性化します。

 

ウォーキングなどの有酸素運動は、脳への血流を増加させ、脳の働きがよくなります。記憶力や判断力も高まります。

 

コグニサイズの効果を検証するために、国立長寿医療研究センターが愛知県大府市と共同で、大規模な比較研究をおこないました。MCI(軽度認知障害)の人たちを対象にしてコグニサイズ教室に参加したグループと、健康講座を受けるグループに分け、10カ月後に認知機能や海馬の萎縮度を調べました。

 

結果、前者は記憶力など認知機能が回復し、海馬の萎縮も食い止められていました。後者は、認知機能の低下や海馬の萎縮が見られたのです。

 

8割の人が、有酸素運動によって記憶力が向上したり、脳の委縮がくい止められたりした効果がみられました。

 

コグニサイズは、認知機能の向上と脳の萎縮抑制に効果があることが明らかになりました。また運動によるダイエットの結果、高血圧、糖尿病、血管性の病気などが減ります。

 

 

 

【汗をかき、息がはずむ程度の強さの運動をする】

 

 

脳を活性化させる運動は、単なる散歩では効果がありません。

 

ポイントは、少し大変だな、ちょっとつらいな・・・くらいの負荷を体にかけることです。こうすれば、筋肉から脳に刺激が伝わり、脳が活性化します。

 

額に汗をかく、息がはずむくらいの早歩きがベスト。効率よく筋肉に負荷をかけるなら、階段の上り下りがお勧めです。

 

運動する時間の目安としては、1日30分以上、週に3日以上が効果的。

 

コグニサイズは、健康なら中年期(40代から50代前半)からの開始が最適です。この時期を境に生活習慣病を発症する人が急増するからです。生活習慣病は認知症を誘発するリスク要因なので、生活習慣病を防ぐことは認知症発症を抑制します。

 

もちろん、MCIの人でも認知症の抑制効果があります。何歳でもすぐにコグニサイズを始めましょう。

 

 

 

【デュアルタスク・エクササイズがより効果的】

 

 

運動と計算。ふたつのことを同時に行う訓練を「デュアルタスク・エクササイズ」です。ようは、ながら運動です。コグニサイズとも呼ばれています。

 

デュアルタスク・エクササイズ(コグニサイズ)は、運動だけより、脳を使うだけより効果があります。

 

アルツハイマー病になると、ふたつのことを同時に行うことができにくくなります。そこで注意分割機能を弱らせないために、デュアルタスク・エクササイズが効果的。

 

とくに脳の認知機能をつかさどる前頭葉を鍛えるため、MCI(軽度認知障害)の段階では効果があることが確認されています。

 

コグニサイズをMCIの100人に半年間行った実験では、記憶力が向上し、海馬の委縮を抑える効果も確認されました。

 

注意分割機能を高める方法としては

 

・計算をしながら歩く(100から7ずつ引き算する、7・5・3の順に引く)
・掃除をしながら洗濯をする
・料理をしながら鼻歌をうたう
・入浴しながら歌をうたう
・歩きながら会話をする
・ラジオを聞きながら掃除をする
・しりとりしながら歩く
・踏み台昇降をしながら、計算する。しりとりする
・段取りを考えながら、買い物をする
・段取りを考えながら、掃除をする
・料理をする
・筋トレしながら俳句をつくる
・知らない街を地図をみながら散歩する

 

があります。

 

「あー、間違えたあ!」「うわー、失敗」と、楽しみながら運動をするのが続けるコツです。

 

 

 

【コグニサイズの基本】

 

コグニサイズ

 

コグニサイズの基本でもある10か条を守り、楽しく続けましょう。

 

・無理をしないで少しずつ行う
・準備運動をしてから開始する(体が温まっていないのに動くとケガをする恐れあり)
・脱水にならないよう水分補給をする(水やスポーツドリンクを飲む)
・痛みがあれば休息をとる。痛みをこらえて無理をして行わない
・転倒に注意する(転びそうな人は手すりにつかまってトレーニングする)
・少しでもいいので毎日継続する
・運動は「ややきつい」と汗ばむ程度の運動強度で実施する
・慣れてきたら新たな課題に挑戦する
・トレーニング内容は複数の種目をおこなう
・もっとも大切なのは継続すること

 

コグニサイズの種類には、コグニステップ、コグニラダー、コグニウォークなどがあります。

 

 

 

【運動する際の注意点】

 

 

無理をせず、自分にあったペースで行います。運動の前には必ずストレッチ(準備運動)をして、体を温めて筋肉をほぐします。夏は脱水症状にも気をつけます。

 

運動でも勉強でも続けることが大切です。運動する時間がなかなかとれないのであれば、生活の中で運動する時間をとりいれます。

 

たとえば、車やバスを使わず、歩く。駅や建物ではエレベーターを使わずに、階段を使うといいでしょう。

 

 

 

【筋力トレーニングで脳を刺激して活性化】

 

 

筋肉の量が増えると、体を動かしていないときに使われるエネルギー量が増えるため、太りにくい体になります。

 

太りにくくなれば高血圧、糖尿病、メタボの予防につながります。筋力がつけば、要介護になる危険度が高い状態のロコモ(ロコモティブ・シンドローム)の予防にも。

 

ダンベルを使わず、自分の体重を利用して負荷をかけるなど、無理のない範囲で筋力トレーニングをしましょう。

 

 

 

【エピソード記憶を高める訓練】

 

 

認知症になると、比較的近い過去の記憶がすっぽり抜けてしまうことがあります。加齢による単なる物忘れでなく、できごとや体験の記憶(エピソード記憶)を忘れます。

 

昨夜、晩ごはんに何を食べたかを忘れるのではなく、晩ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのです。

 

そこで、エピソード記憶を高める訓練をふだんから行います。

 

エピソード記憶を高める訓練としては

 

・日記をその日につけるのではなく、3日前を思い出して書く
・レシートを見ずに、家計簿をつける
・趣味の仲間たちと思い出を共有する
・読んだ本や映画の感想をブログに書く

 

などがあります。

 

情報のインプット(入力)だけでなく、アウトプット(出力)するためにインプットすることを意識しましょう。誰かに何かを教えるのも効果があります。

 

 

 

【計画力を高める】

 

 

認知症になると、時間の感覚がなくなる、料理が作れなくなる、部屋の片づけをしない、新しいことが覚えられない、などの症状が現れます。ずばり、計画力が低下します。

 

そこで旅行に行く計画を立てる、献立を決めてから買い物に行く、囲碁・将棋・麻雀などをする、新しいことに挑戦する、ことで計画力を高めます。

 

パソコンを買ってインターネットに挑戦したり、ブログをはじめて情報発信をしてもいいですね。情報のアウトプット(出力すること)は効果的です。

 

好奇心が強く、社交性のある高齢者は認知症になりにくいといわれます。日ごろから、なんにでも興味をもつ、人と会う・話すのも予防になります。

 

 

 

【コグニライフをはじめよう】

 

試食販売

 

コグニサイズのある暮らし、それがコグニライフです。

 

生活のいろいろな場面、通勤や車の運転中、料理をしたり、買い物を楽しむ、掃除をしながら計算をしたり、脳を使うことで認知症の予防をはかります。運動をするのは面倒だったり億劫でも、コグニライフなら簡単に始められます。

 

コグニライフを生活に取り入れる方法は以下になります。

 

・見かけた車のナンバープレートの数字を引き算したり、かけ算する
・スーパーでの買い物は往復せず、一筆書きですませる
・買い物の合計金額を暗算する
・旅行を自分で決め、予約までする
・りんご、ごりら、ラッパなど、しりとりをしながら歩く
・目にしたものを英語にしてみる。りんごならアップル、みかんならオレンジ
・一昨日のことを思い出して日記を書く
・電話帳をみずに電話をかける
・夕食時に昨日、一昨日のメニューを思い出す
・新聞をできるだけ早い速度で正確に音読する

 

 

 

【MCIの予防効果が期待されるおもな非薬物療法たち】

 

 

薬に頼らない認知症の予防法「非薬物療法」。なお、非薬物療法の医学的根拠の程度については、ばらつきがあります。

 

>>運動療法

 

国立長寿医療研究センターが知的活動のコグニッション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせたコグニサイズを提唱。

 

男女がペアになりタンゴやワルツを踊る「コグニダンス」は、体を動かす有酸素運度、ステップなど次の動作を考え頭を使う、人と触れ合う、MCI予防の3要素が含まれています。

 

>>音楽療法

 

音楽を鑑賞する受動的な音楽療法と、カラオケで歌う、楽器を自分で演奏する能動的な音楽療法があります。

 

たとえば、歌唱は多くの筋肉を使う有酸素運動。伴奏にあわせて歌うことは、音楽や周囲とのズレを感じ、同時に修正する知的な活動です。

 

>>回想療法

 

1964年にアメリカの精神科医バトラーが提唱した心理療法。古い写真や生活用具、玩具などを手にすることで昔の記憶がよみがえり、思い出を語らせる。自己肯定感を高め、脳の機能が活性化します。近年は地域の民具などを使った地域回想法を行う博物館も。

 

>>ペット介在療法

 

うさぎや猫、犬などの小動物と触れ合うことでリラックス効果が得られる。またスタッフとの会話によって、脳に刺激も受けられます。コミュニケーション障害も軽減する。

 

>>芳香療法

 

アロマセラピー。芳香成分を含む精油で臭覚を刺激し、認知機能の低下を抑えることが期待できる。

 

【無料でパンフレットをお届けします】いつでもどこでもALSOKが駆けつける まもるっく

 

 

 

>>>認知症の予防は、食事をよくかんで食べる