食事はよくかんで食べる

食事はよくかんで食べる

 

【食事はよく噛んで食べる】

 

 

認知症の原因のひとつに、高血圧や糖尿病、肥満があります。そこで、食生活を見直すことは認知症の予防法のひとつ。

 

食事というと「何を食べるか」ばかりに目が行ってしまいますが、食事の基本は「よく噛むこと」「しっかりと咀嚼すること」にあります。

 

ここでは食事をどのように食べたらいいかをお教えします。

 

 

 

【食べられなくなると認知機能も一気に落ちる】

 

 

食べるという行為は、生きることそのものです。食べ物をかんだり、飲みこんだりができなくなると、体力だけでなく認知機能も一気に低下します。

 

認知症の予防段階であれば歯科医院で治療を受けます。

 

症状がある場合は、介護保険サービスを利用して歯科衛生士に在宅での訪問指導を受けます。治療が必要ならば、訪問治療をしてくれる歯科診療所に来ていただく手もあります。まずはケアマネジャーに相談しましょう。

 

 

 

【よく噛むことの効果】

 

 

認知症の高齢者を調査したところ、健康な高齢者に比べて、認知症患者は残っている歯の数が少ないという結果になりました。

 

この結果から、よく噛むことは認知症を予防することになると考えられます。

 

>>東北大学の調査結果(70歳以上の高齢者の残っている歯の本数)

 

・認知機能が正常 平均14.9本
・認知症予備軍 平均13.2本
・認知症の疑いがある人たち 平均9.4本

 

MRIで脳の大きさを調べたところ、残っている歯の数が少ない人ほど海馬や前頭葉の容積も減っていました。

 

野球の選手が試合中にガムを噛んで集中力を高めたり、長距離トラックの運転手や受験生は深夜にガムを噛んで眠気を覚まします。つまり、よく噛むこと、顎を動かすことは脳を覚醒させる神経を刺激する効果があるのです。

 

また歯根と骨をつなぐ歯根膜を通じて、脳の記憶や学習をつかさどる部分に刺激が伝わります。咀嚼するとき、左右の顎の筋肉を使います。そうすると、脳の血流が増すのです。歩くことと同じ効果が、よく噛むことでも期待できます。

 

虫歯や歯がなくなってしまっている場合、そのままにせず歯医者で治療をします。または、自分にあった入れ歯を作りましょう。歯は認知症とちがって、すぐ確実に治療ができるのですから。

 

 

 

【噛みあわせが悪いと認知症になりやすい】

 

 

岡山大学のラットの実験では、噛みあわせを悪くしたラットは正常なラットに比べて、海馬に蓄積したアミロイドβ(ベータ)の量が2倍以上になっていました。

 

その後、噛みあわせをなおしたところ、アミロイドβの量は正常なラットとほとんど変わらなくなりました。

 

 

 

【よく噛めば食べ過ぎない】

 

 

人が食事をはじめて、脳が満腹感を感じるまでに約20分ほど時間がかかります。早食いや大食い、肥満の方は、満腹感を感じるまえに大量に食べ過ぎてしまいます。

 

そこで、よくかんでゆっくりと食べましょう。口に入れたら30回は噛むことを心がけます。さらに唾液で食べ物の分解が進むので、満腹中枢が早く刺激され、食べ過ぎも防げます。

 

血糖値をあげないために、食物繊維が豊富な野菜サラダをはじめに食べるのも効果的。噛む回数を増やす工夫は

 

・一度に口に入れる量を減らす
・食物繊維が豊富な野菜を多く使う
・食材を大きめに切る
・噛みごたえのある食材をつかう
・白米でなく玄米にする

 

があります。

 

 

 

【食べ過ぎを防ぐ方法】

 

 

満腹になるまで食べず、腹八分目を意識して食事をします。

 

きのこ、こんにゃく、海藻など低カロリーの食材を使って、料理の量を増やします。食べる順番を意識するのも効果的。食事の最初に生野菜をたっぷりと食べる、汁ものを飲むことで満腹感を高められます。

 

症状が進行しているときは、大食いを防ぐために大皿に料理を盛らず、一人分ずつ盛りつけるといいでしょう。

 

 

 

【重症化する前に歯みがきの習慣をつける】

 

 

認知症が重症化して、認知機能の多くが失われる前に歯みがきを習慣化しておきます。家族がいっしょに磨くことで、しっかり磨けますし、歯みがき粉と洗顔フォームを間違う事故も防げます。

 

入れ歯の人は、入れ歯をはずして磨きます。汚れがとれ、歯ぐきの血行もよくなります。

 

寝たきりなど歯みがきが自分でできない場合は、ガーゼを指に巻きつけて歯の汚れをとってあげます。

 

歯や歯ぐきをマッサージすることで口の中の感覚が高まり、風味を感じやすくなるので美味しく食べられる。そのほかにも唾液が増える、飲み込みやすくなる効果もあります。

 

 

 

【口のエクササイズをする】

 

 

食べ物を食道に送り込むためには舌の力が必要になります。舌や口、のどの筋肉を鍛えることで、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)もしやすくなるのです。

 

>>普段からできる口のエクササイズ

 

・口をめいっぱい開けて10秒そのまま。口を閉じて10秒やすむ「開口エクササイズ」を5セット
・舌を口の中のあちこちに押し付ける「舌抵抗エクササイズ」(回数は自由)
・床やベッドにあおむけになり、肩を浮かせず、つま先が見える高さまで頭を上げ1分間そのまま。1分休んでまた行う「シャキア訓練」を3セット

 

>>食べる直前の食卓エクササイズ

 

・鼻からゆっくりと息を吸って、口を小さくすぼめ、口からゆっくりと吐く「口すぼめ深呼吸」を10回
・椅子に座り、背筋を伸ばし、頭をゆっくりと大きく回す。反対方向も同じ。首の筋肉をゆるめる「首まわしエクササイズ」を10回
・食事をこぼしにくくなる「頬のエクササイズ」は、右と左の頬を交互にめいっぱい空気でふくらませる。慣れてきたら水をふくんでおこなう。10回。
・食べるのに必要な筋肉のすべてを刺激する「構音エクササイズ」を10回。パ・タ・カと、はっきり発音する。

 

ほかにも唾液を増加させる「唾液腺マッサージ」も効果的です。

 

高齢者は唾液の量が減ります。唾液には殺菌力があり、食べ物をまとめるため飲み込むために欠かせない物質です。唾液が減ると、嚥下障害や歯周病がおこりやすくなります。

 

 

 

【食べこぼしも認知症のサイン】

 

食べこぼし

 

認知症でも食べこぼしをすることがあります。食べている最中に食事の意欲が低下し、噛む気力を失ってしまいます。なかには30分以上も食べ物を口に入れたままの人も。

 

誤嚥してもむせることが少ないため、介護する者も気づかないうちに誤嚥性肺炎をおこしていることもあるので注意が必要です。

 

食べこぼしが増えたのに本人が気づいていない、手の震えがあるなど、少しでも気になることがあれば迷わずに神経内科を受診しましょう。

 

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