認知症になりにくい食事

認知症になりにくい食事とは

 

【認知症の食事ケア】

 

 

久山町研究によれば、アルツハイマー病の危険度を下げる生活習慣が明らかにされています。それは、運動と食事のふたつ。

 

運動の習慣がある人は、アルツハイマー病の危険度が4割も下がっています。また住民の食事を調査したところ、認知症になりにくい食事も判明しました。

 

久山町研究チームによる理想的な食事は、野菜中心で肉・魚のはいった和食に、牛乳・乳製品を加えた献立でした。

 

この食事パターンの人は、アルツハイマー病と血管性認知症の危険度がともに4割も低下しています。

 

>>多くとるのが望ましい食品

 

・大豆(豆腐や納豆)
・野菜
・海藻
・牛乳(1日にコップ1杯)、ヨーグルト、チーズなどの乳製品

 

>>少ないほうがよい食品

 

・ご飯
・アルコール

 

牛乳をたくさん飲む人には、認知症が少ないという研究報告があります。

 

 

 

【糖質を摂りすぎない】

 

 

久山町研究に「少ないほうがよい食品」として、ご飯があります。じつは、ご飯には糖質が茶碗1杯(150グラム)に、55.2グラムも含まれているのです。

 

認知症の原因にもなる糖尿病を予防・改善するには、エネルギー摂取量よりも糖質の量を減らすことが重要です。

 

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβ(ベータ)という老廃物がたまることで起きます。このアミロイドβ、通常はインスリン分解酵素で分解されています。

 

ところが血糖値が高い状態(糖尿病)が続くと、インスリン分解酵素が脳のアミロイドβの分解まで使われず、脳にアミロイドβが溜まるのです。

 

アミロイドβの蓄積を防ぐには、血糖値を上げないこと。血糖値は「糖質」によって上がります。そこで糖質が多く含まれるご飯、パン、麺類、甘いお菓子を食べ過ぎないようにしましょう。

 

食事をするときは、食物繊維たっぷりの野菜を先に食べることで満腹感も早まりますし、血糖値の上昇もゆるやかになります。

 

 

 

【塩分を摂りすぎない】

 

 

日本人の国民病、サイレントキラーとも呼ばれている高血圧。高血圧の原因のひとつに「塩分」の摂りすぎがあります。

 

高血圧も認知症の原因のひとつ。とくに脳血管性認知症、アルツハイマー病のリスクを高めます。血管を傷つける高血圧の予防の基本は「減塩」です。

 

高血圧を予防・改善するには、1日あたりの食塩摂取量を6グラム未満に抑えるのが理想です。

 

 

 

【質のよい脂をとる】

 

 

これまでの研究で、日常的に魚を多く食べるひとは、認知症の発症リスクが低いことがわかっています。とくに、アジ、イワシ、サバといった青魚にふくまれるDHA、EPA(不飽和脂肪酸)の働きと考えられています。

 

シカゴのラッシュ大学健康老化研究所の博士らが高齢者を対象に行った調査では、週に1回以上魚を食べる人は、食べない人に比べアルツハイマー病になるリスクが60%も低くなることがわかりました。

 

DHAは、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβが脳にたまるのを防ぐ作用があります。またEPAには血液をさらさらに保ち、血栓を防ぐ効果があり、脳血管性認知症の予防に効果が期待できます。

 

なおDHAとEPAは亜麻仁油、しそ油、えごま油からも摂取できます。

 

 

 

【ビタミンBをとる】

 

 

認知症の予防に注目すべきアミノ酸に「ホモシステイン」があります。ホモシステインが増加すると動脈硬化が進み、脳血管性認知症やアルツハイマー病の発症リスクが高くなります。

 

ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸によって、ホモシステインは別の物質に変換されます。そこで、ビタミンB群を毎日の食事から、きちんと摂る必要があります。

 

>>ビタミンBを多く含む食品

 

・ビタミンB1 うなぎ蒲焼、豚ヒレ肉、落花生、そら豆、たらこ、玄米ごはん
・ビタミンB2 豚レバー、うなぎ蒲焼、牛乳、ぶり、納豆、卵
・ビタミンB6 かつお、あじ、牛レバー、赤ピーマン、バナナ、さつまいも
・ビタミンB12 牛レバー、さんま、あさり、牡蠣、いわし、たらこ
・葉酸 牛レバー、菜の花、枝豆、ほうれんそう、ブロッコリー、いちご

 

>>抗酸化物質をたくさん含む緑黄色野菜や果物

 

ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、ポリフェノールといった抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜や果物は、認知症を防ぐ効果がある、といわれています。

 

・ビタミンC いちご、牡蠣、キウイ、レモン、ゴーヤ、パセリ、ピーマン
・ビタミンE かぼちゃ、シソ、大根の葉、ホウレンソウ、モロヘイヤ、春菊
・βカロチン かぼちゃ、シソ、大根の葉、春菊、ニラ、ホウレンソウ
・ポリフェノール ウコン、ゴマ、ナス、タマネギ、ブドウ、大豆、赤ワイン、緑茶

 

 

 

【抗酸化作用のあるポリフェノールをとる】

 

 

ポリフェノールは、ほとんどの野菜や果物に含まれています。

 

実験結果では、ポリフェノールのなかには、脳内でアミロイドβを分解したり、アミロイドβが作られるのを阻止する働きをもつものもあります。

 

ポリフェノールの種類と多く含む食品たち

 

・アントシアニン 紫いも、ブルーベリー、ぶどう、スイカ
・イソフラボン 納豆、豆腐、味噌、きなこ
・カテキン 緑茶、ほうじ茶

・クロロゲン酸 コーヒー、じゃがいもの皮、さつまいもの皮
・クルクミン ターメリック(ウコン)、カレー粉
・カカオマスポリフェノール チョコレート、ココア
・ルチン そば、玉ねぎ
・ヘスペリジン レモン、蜜柑
・ケルセチン 玉ねぎ、りんご、トマト、緑茶

 

アメリカのヴァンダービルト大学医学部の大規模疫学調査によれば、約1800人の日経アメリカ人で週3回以上、野菜または果物のジュースを飲む人は、週に1回未満しか飲まなかった人に比べると、アルツハイマー病の発症率が76%も低かったのです。

 

これは野菜や果物に含まれる抗酸化物質のポリフェノールの働きではないかと考えられています。

 

 

 

【お酒を飲むなら赤ワインがいい】

 

 

久山町研究では、少ないほうがよい食品に「アルコール」がありました。しかし、お酒を飲まない人より、適量を守って飲む人のほうが認知症を発症しにくいともいわれています。

 

もちろん、飲みすぎはいけません。そこで赤ワインがお勧めです。理由は、ぶどうに含まれるフラボノールというポリフェノール。ほかにもアントシアニン、カテキン、タンニン、レスベラトロールといった様々なポリフェノールが含まれています。

 

フランス国民は、赤ワインを飲んでいるため、虚血性心疾患や脳血管障害による死亡率が低くなっています。赤ワインは、アルツハイマー病、生活習慣病の予防にも有効と考えられています。

 

お酒を飲むなら赤ワイン。そして、1日あたりの適量は男性でグラス2杯、女性でグラス1杯です。

 

お酒が苦手な人は、ぶどうジュースでも代用可。ただし、ぶどうジュースはカロリーが高いことと、赤ワインよりポリフェノールの含有量は少なくなっています。

 

さいごに。お酒を飲むときは、家族や友人などと一緒に雰囲気や会話を楽しみながら飲みましょう。脳によい刺激を与えます。

 

 

 

【コーヒーや緑茶をのむ】

 

 

>>緑茶の効果

 

緑茶が健康によいことは昔から知られています。緑茶にはカテキンやビタミンEやCなどの抗酸化力の高い成分が多く含まれているからです。飲料メーカーの伊藤園の調査によれば、緑茶に含まれるテアニンに認知機能の低下を抑える働きがあると考えられています。

 

動物実験では、緑茶に含まれる成分「エピガロカテキンガレート」が、アミロイドβの脳への沈着を抑えることがわかっています。埼玉医科大学と南フロリダ大学の研究チームが突き止めました。

 

認知機能の低下するリスクがもっとも低いのは、1日2杯以上の緑茶を飲むひとです。東北大学の栗山進一博士も、緑茶を多く飲む人ほど、脳や心臓など循環器系の病気で死亡するリスクが低下すると報告しています。

 

緑茶に含まれるいろいろな抗酸化物質は、脳の関門を通過して脳内に到達してベータアミロイドや活性酸素から神経細胞を守ります。

 

>>コーヒーの効果

 

近年、コーヒーが健康によいという研究結果が発表されています。コーヒーには、カフェイン、クロロゲン酸、マグネシウムなど、認知機能の低下を抑える作用のある成分が含まれています。

 

フィンランドのクオピオ大学、スウェーデンのカロリンスカ大学、フィンランド国立公衆保健研究所が共同でおこなった大規模疫学調査によると、中年期に1日3〜5杯のコーヒーを飲む人は、高齢期に認知症になるリスクが65%も低下することがわかりました。

 

マウスによる動物実験では、カフェインで脳への異常なたんぱく質の沈着が少なくなり、脳の損傷も部分的に修復することも確認されています。

 

1日に3杯以上のコーヒーを飲む人が、認知機能の低下がもっとも少ないとされています。

 

どちらも飲むことでリラックスできますが、飲みすぎても逆効果なので注意が必要です。

 

 

 

【血糖値を急激にあげるパン】

 

 

うつ病の研究によれば、ストレスは脳の血流を減少させます。またストレスによって放出されるホルモンは、脳の神経細胞に影響を与えます。

 

ところが脳にかかるストレスは精神的なものばかりではありません。食事からもダメージを受けます。

 

代表的なのは、小麦を使ったパン。たとえば小麦は砂糖よりも血糖値を急激に上げます。ご飯もパンも、脳のエネルギーである糖分を含んでいます。

 

けれど脳への影響は大きく両者は異なります。血糖値は、血液の中に含まれる糖分の濃度を指します。GI値(ジーアイち)は、血糖値の上がり・下がりを示します。

 

パンの場合、GI値が一気にガンと上がり、一気にガンと下がります。米の倍は、ゆるやかに上がり、ゆるやかに下がるのです。

 

血糖値が急激に上がれば、脳の血管を傷つけます。結果的に、糖尿病や動脈硬化を引き起こす原因にもなります。とうぜん認知症発症のリスクも高くなるのです。

 

米は、白米よりも玄米や五穀米のほうがGI値は低く。パンも菓子パンや食パンよりも全粒粉パンのほうが低くなります。

 

 

 

【菓子パンを主食にしてはいけない】

 

 

ただでさえGI値の高いパン。菓子パンには、GI値の高い砂糖が大量に含まれています。つまり、血糖値の上がり方がふつうのパンよりも急激になります。

 

パンを食べるのであれば、毎日は避けましょう。糖分の多い菓子パンでなく、全粒粉パン、ライ麦パンなど未精製のものを選びます。

 

朝食でパンと米を食べる子を比較調査したところ、朝食でご飯を食べている子のほうが認知機能が高く、知能指数の平均値も高いという結果がでています。

 

白澤卓二著「ボケないのはどっち?」によれば、小麦粉からできているパンを食べ続けることで、脳の霧と呼ばれる症状(集中力が散漫になる、短期的な記憶が不正確になる、言葉がなかなかでてこないことがある)が発生することが知られています。

 

さらに循環器専門医であるウイリアム・デイビスが書いた「小麦は食べるな!」では、2000人以上の肥満患者に小麦食品の摂取を止めさせた臨床実験から、肥満の原因は小麦であると結論づけています。

 

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>>>地中海式食事で認知症を予防する