認知症患者の食事のしかた
【認知症患者の食事のしかた】
脳の神経細胞が破壊され、時間や場所がわからないといった症状があらわれる認知症の人には、決まった生活リズムが大切です。
毎日、決まった時間帯に食事をします。時間以外にも、同じ場所、同じ食器を使いましょう。本人には、慣れた環境でとまどわず安心して食べることに専念してもらいます。
本人がわかりやすいよう、ごはん、副菜、みそ汁などは、いつも同じ位置に並べます。
【すわって食事をする時の姿勢について】
食べ物を上手に飲み込むために、少し前かがみの姿勢で食事をします。この姿勢であれば、食べ物が気道に入ってしまうのも防げます。
椅子は背もたれのあるものを。そして深く腰かけます。背中にクッションを置くことで、自然に前かがみの姿勢にもなります。こぼす、料理がとれないことがないよう、テーブルと体の間には隙間ができないように。
安定して座るためには、足が床についている必要があります。座高がありすぎる椅子、小柄で足が床につかないときは椅子を変えたり、足を置く台を使います。
【できるだけ自分の口で食べる】
認知症の場合、肥満や高血圧、糖尿病でなければ、特別な食事制限は必要ありません。本人が好きなものをバランスよく用意します。
食べることは生きること。できるだけ、自分の口で食べてもらいましょう。
美味しそうな料理を見る、匂いをかぐ、味わう、よく噛む、飲み込むといった動作が、脳を活性化させます。
【高齢者は低栄養になりがち】
食が細くなる高齢者は、低栄養になりがち。
粗食が認知症予防の鍵ではありますが、粗食すぎて低栄養になっては本末転倒です。
>>低栄養を予防する食生活
・3食バランスよくとり、欠食は絶対に避ける
・動物性たんぱく質を魚から十分にとる
・オリーブオイル、えごま油、あまに油、ごま油など抗酸化作用のある油をとる
・牛乳を毎日飲む
・またはヨーグルトを毎日食べる
・緑黄色野菜を食べる(1日350グラム以上)
・煮る、焼くなどして野菜の食べる量を増やす
・食欲がなければ、おかずを先に食べる。ご飯を残す。
・かむ力を維持するために歯の治療をする
野菜をまったく食べない人と、毎日食べる人では、アルツハイマー病の発病率に2倍以上の差が認められたという調査結果もあります。
どうしても野菜が食べられない時は、トマトジュースや野菜ジュースを飲みます。
ただし、野菜ジュースといいながら50%が果物の野菜ジュースもあり、カロリーが高くなるので注意が必要です。
毎日、食事のしたくをするのも大変です。そこで、市販の介護食を活用してもいいでしょう。
【高齢者は水分補給が重要】
高齢者は喉がかわいても自分で気づかないことがあります。人間の体の6割以上は水分でできています。認知症でなくても、意識して水を飲む、食事から水分を補給するようにします。
しかも高齢者は、加齢により腎機能が低下するため、水分を体内にためておく能力も低くなります。若いとき以上に水分補給は大切です。
水分を補給することは、お年寄りに多い便秘の解消にもつながります。水を飲み込むのが困難であれば、栄養補給ゼリーやジュース等をゼリーにする調整剤を活用します。
【介護者が気をつける点】
介護者は、本人の横に座っていっしょに食べます。
向かいに座ると、本人が監視されているように感じることもあります。
【嚥下障害のあるときは、とろみをつける】
嚥下困難(えんげこんなん)、嚥下障害(えんげしょうがい)といった、食べ物や水を飲み込むのが大変ならば、食品にとろみをつけたり、ゼリー状にします。
いまは味の変わらない嚥下困難者用のゼリーやとろみ調整剤が販売されています。
楽しく食べることを優先し、食事は本人のペースにまかせます。箸が使いにくければ、リウマチ患者や高齢者用の食具(箸スプーンやフォークの持ち手)もあります。
食事中は、急がせる、叱る、怒る、などはやめましょう。
【アルツハイマー病になると不足する栄養素】
アルツハイマー病になった人の食生活は、亜鉛、鉄、カルシウムの摂取が不足しているという指摘もあります。
海藻に含まれる、これらミネラルで脳を健康に保ちます。
【食物繊維で腸をキレイに】
腸には、免疫細胞全体の約6割が腸内に待機していて、侵入してくる敵と戦っています。毎日ヨーグルトを食べて腸内細菌を増やし、免疫力を向上させましょう。
胃で消化されず体外に排出される食物繊維。腸内を掃除するために食物繊維の多い野菜をとります。
発酵食品でもある納豆。納豆には、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養が豊富に含まれています。ナットウキナーゼといった血液をさらさらにする酵素も。
【高血圧、糖尿病の予防にお酢】
酢にはいろいろな健康効果があります。疲労回復、老化防止、体内の脂肪分解促進効果など。血糖値の急上昇も防ぐため高血圧や糖尿病の人にもお勧めです。
黒酢や延命酢といったフルーツを原料とした飲料用の酢で積極的に摂りましょう。
【米国発、アルツハイマー患者思いの食器 イートウェル・アシスティブ・テーブルウエア(Eatwell)】
祖母がアルツハイマー病で、食事のたびに食べ物や飲み物を口に運ぶのに苦労しているのを見た孫が老人施設に通って作った食器。
それがイートウエル・アシスティブ・テーブルウエア(EWAT)です。
認知症やアルツハイマーの患者が食べ物や飲み物を簡単に口に運べるよう、様々な工夫がされています。
・ひっくり返らないよう、コップの底に吸引盤が付いている
・落ちないよう、大き目の取っ手が付いてる
・皿は平らでなく、一方が高くなっているので食べ物がすくいやすい
・皿と同じカーブの丸みがついているスプーン
・食欲をそそる赤や青、黄色といった鮮やかな色
・食べ物と食器を識別できる色を使用
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