やってはいけない徘徊の対応

やってはいけない認知症による徘徊の対応

 

【本人が徘徊する理由を知る】

 

 

徘徊(はいかい)は、認知症の典型的な症状のひとつ。本人の安全のためにも事前に対策をとっておきましょう。

 

ここでは家庭で「やってはいけない徘徊の対応」をお教えします。

 

徘徊をする原因を知る・考えるでも説明しましたが、認知症の人は「ただ、あてもなく歩いている」わけではありません。本人にとっては、何らかの理由や意味があって歩きまわっています。

 

まずは、その本人だけが知っている理由や意味をくみ取る努力をしましょう。

 

無理に引きとめず、一緒にでかけて付き添い、出かける方向や出かける時間を探ります。コンビニのように迷う目印を発見できるかもしれません。

 

できるだけ安全に歩いてもらえるよう、誰かが一緒に歩く、途中で休憩をとる、熱中症・脱水症状に気を配る、交通事故や転倒にも注意が必要です。

 

一緒にでかけることで満足し、徘徊がなくなることもあります。

 

 

 

【気をつけたい対応】

 

 

・叱る
・責める
・閉じ込める

 

この3つは絶対にしてはいけません。ますます認知症の症状が進みます。

 

ほかにも、外で本人を見つけたので家に無理やり連れて帰ろうとする、家から出られないよう家中に鍵をかける、ベッドやイスなどに固定して動けないようにする、のも間違いです。

 

外で本人をみつけても「ダメといったのに、どうして出て行ったの!」「心配したのよ!」と叱ったり、責めてはいけません。

 

もしあなたが自分は正常だと考えているのに、とつぜん叱られたり、責められたり、ましてや閉じ込められたらどう思うでしょうか。

 

夕暮れ症候群で、在りし日の実家に帰ろうとしたのに、よくわからない他人の家に閉じ込められてしまったら・・・。本人は監禁されたと思うかもしれません。

 

この場合の望ましい対応は、隣近所や本人がよく行くお店、派出所などにあらかじめ話をしておく。服や靴に名前や住所を書いた布を縫いつける。お守りや靴、持ち歩くカバンにココセコムまもるっくといったGPS発信器をしのばせておく、玄関のドアが開くとベルの鳴るセンサーを取り付けておく、です。

 

 

 

【本人と別居している場合】

 

 

徘徊はある日、予告なく起こります。いざという時にあわてないよう、さまざまな対策を講じておきます。

 

認知症の親と別居している場合、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、民生委員、自治体の窓口に早めに相談しておきます。親の地域の人にも認知症であることを説明し、一人で歩いていたら連絡してもらうようにします。

 

自治体によっては、高齢者の見守り・SOSネットワークという取り組みも実施しています。自治体の窓口に問い合わせてみましょう。

 

徘徊している人が保護された場合、本人の身元がわからないときは警察に24時間は保護されます。その後、福祉施設に移ります。

 

 

 

【夕方「家に帰る」と言いだした】

 

 

自宅にいるのに夕方になると「家に帰る」と言いだすことがあります。これは見当識障害によって、元気だった、楽しかったあの頃に戻りたいと考えるから。

 

このとき、気をつけたい対応は

 

・「どこに行く!」と力ずくで止める
・「帰るところなんてない!」とバカにする
・「自宅はここですよ」と説得する

 

と否定することです。

 

本人は、いまの自宅を「自分の居場所」とは考えていません。だから実家に帰りたがるのです。

 

それなのに否定されたり、責められたり、説得される。ましてや閉じ込められたら不安にならないほうがどうかしています。

 

 

この時の望ましい対応は、誤魔化すような会話ではなく、どうして徘徊にいたっているかの原因を聞きながら対処すること。理由を聞き、本人の話に共感する姿勢が大切です。

 

・「今日はもう遅いので泊っていってください」とお客様あつかいする
・「送ります」と一緒に散歩に行く
・「お茶を入れるから、飲んでから行きましょう」と関心をそらす
・「電車の事故がさっきあったから、しばらく待ってみては」と嘘をつく
・「今日の相撲は誰が勝ったかしら」とテレビをつけて気をまぎらわす
・「今日は日曜日だから、会社は休みですよ」と答える
・「事務の○○さんから、今日は臨時休業と連絡がありました」と伝える

 

まずは受け入れ、話をあわせ、ほかに関心をむけさせましょう。

 

穏やかに会話を続けると、興奮状態だった本人の心も落ち着き、自分が家にいることを理解することもあります。

 

一番の基本は「ここが私の居場所だ」と実感してもらえる雰囲気をふだんから作ることです。

 

大切なのは、自分がお荷物ではなく「大切にされている」「必要だ」「感謝されている」と感じさせること。「いつもありがとうございます」「お母さんがいて助かるわ」といった感謝の言葉、称賛の言葉を使いましょう。本人ができることをお願いして、役割を与えることも大切です。

 

本人の気持ちや理由に応じた対応をすることで、心が安定し、自然に徘徊は減っていきます。

 

 

 

【会話の工夫で効果もある】

 

 

まず話す時の立ち位置ですが、正面に立って行く手を阻む対決姿勢をとってはいけません。圧迫感を本人に与えないよう、横や斜めに立ちます。

 

本人が話したいときに、ペースをあわせて、ゆっくりと会話をします。あわてさせてはいけません。

 

 

 

【少しでも徘徊を減らす方法】

 

玄関

 

少しでも徘徊を減らしたければ、出入り口の床を格子模様にしたり、格子模様のマットを敷く方法があります。

 

こうした柄は人によって穴のように見えたり、連続した同じ床だと思えず、足がすくんでしまうこともあります。

 

 

 

【睡眠不足による徘徊の対処法】

 

寝ている人

 

認知症になると睡眠不足をおこしやすくなります。睡眠不足による精神の不安定、昼夜逆転により夜に徘徊することも。本人には昼間は起きていてもらいましょう。

 

朝はカーテンを開けて日光を浴びてもらいます。こうすることで体内時計がリセットされます。日光浴をすると1時間ちかく多く眠れるという測定結果もあるくらいです。

 

日光浴が難しければ、800ルクス程度の明るめの蛍光灯を昼間もつけておきましょう。寝たきりでもテレビを見られるようになれば、歩くのと同程度で認知能力が衰えにくいことがわかっています。

 

 

 

【行方不明者を早期に発見する方法】

 

警察犬

 

24時間監視したり、出入り口にセンサーを設置しても徘徊を100パーセント防ぐことはできません。

 

そこで徘徊して行方不明になったときは、半径500メートル以内を徹底的に探しましょう。死亡した事件でさえも11人中8人が家から半径500メートル以内で見つかっています。

 

もしも30分探して見つからなければ警察などに相談します。一度、行方不明になるとうち3割の人が死亡しています。行方不明になって48時間以上過ぎると見つかっても生存している確率はかなり下がります。

 

冬場の行方不明による凍死を防ぐため、ふだんから温かい服を着せておきましょう。

 

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>>>GPS発信器を徘徊による行方不明者の発見に活用する(対策その3)