暴言をはく、暴力をふるう

暴言をはく、物を投げる、暴力をふるう

暴言

 

【怒りっぽくなる】

 

認知症の影響で性格が変わってしまうことがよくあります。もともと短期だった人がますます攻撃的になった、おとなしい人が別人のように怒りっぽくなってしまうなど。

 

怒鳴る、物を投げる、暴力をふるうこともあります。

 

じつは怒りやすくなってしまう人は、介護者や家族に対して不満で怒っているのではありません。

 

「自分のふがいなさ」「うまくできない」「情けなさ」に対して、怒っていることが多いのです。

 

これまで、いろいろなことができていたのにできなくなり「困った」「どうしてできない」「なぜこんなふうになった」と、本人は憤りを感じています。

 

>>本人の気持ち

 

・今までしていたのにできない(あせり)
・家族の言っていることがわからない(不安)
・間違いを指摘され、バカにされたと感じる
・(勧めただけなのに)命令された
・自分は必要とされていない(孤独)

 

自分の感情を上手に表現できないことのいらだち、もの忘れが増えたり、判断能力が衰えることへのあせり、喪失感もあります。

 

 

 

【認知症による症状の現れ方】

 

 

認知症で暴力をふるう人は、その人の過去も関係しています。

 

プライドが高く、亭主関白だった、子どもなど周囲によく手をあげていた、一人でなんでもできた人、短気で怒りぽかった人が、暴力をふるう傾向にあります。意外かもしれませんが、温厚だった人もふるうこともあります。

 

行動を制限したり、子ども扱いするなどプライドを傷つけるようなことはしないよう注意が必要です。

 

それでも暴力は暴力。施設などで他の入所者や入居者に暴力をふるった場合、強制退去させられる可能性もあります。

 

 

>>アルツハイマー病

 

記憶障害が目立ち、初期はもの忘れで焦燥感が強い。

 

>>レビー小体型

 

ないはずの物が見える。抑うつ症状も現れる。

 

>>前頭側頭型

 

人間的な行動をつかさどる前頭葉や側頭葉を中心に委縮が起こります。性格が変わり、反社会行動も見られます。

 

>>脳血管性

 

脳の血管が詰まったり、破れたりして脳卒中が原因。まだら症状が目立ち、損傷部位によっては人格変化もおこります。

 

 

 

【いま起きていることが認識できないこともある】

 

天使と悪魔

 

認知症になると、いま起きていることが認識できない、わからなくなることがあります。

 

家族が介護してくれても「自分に悪さをしている」「悪意を向けている」と勘違いしてしまうことも。そして怒ります。認知機能が低下すると感情のコントロールも難しくなり、ちょっとしたことでキレてしまいます。

 

 

 

【耳が聞こえないと怒りっぽくなる】

 

赤鬼

 

怒りっぽくなるのは認知症だけが原因ではありません。たとえば耳の聞こえが悪いことも原因のひとつ。

 

たとえば介護者が「トイレに行きましょう」と腕をつかんだのに本人には聞こえていないので、何もいわずにいきなり引っ張られると感じます。とうぜん「何をするんだ!」と怒るのです。食事や入浴もそう。誰だっていきなり口に何か物を突っ込まれたり、服を脱がされれば驚き、抵抗します。

 

耳が聞こえないと自分の声も聞こえにくくなり怒鳴りやすくなります。聞こえないから大声を出すのです。

 

聞こえが悪ければ耳鼻科で治療する。補聴器や耳の健康器みみ太郎を使う。

 

家族も本人が聞こえていないかもしれないと考え、低い声でゆっくりと正面から話しかけます。

 

 

 

【気をつけたい対応】

 

 

認知症の法則のひとつに「身近な人に対して症状が強くでる」があります。

 

家族だから、信頼している、わがままが言える、甘えます。

 

だから、暴言に暴言で返しても解決はしません。認知症患者は、あなたの鏡です。

 

・「それは、こうでしょう」と、否定する
・「さっき言ったことと違う」と、間違いを指摘する
・力でおさえつける
・「大きな声を出さないで!」「暴力をふるわないで!」と激しく応戦する
・とにかく薬で抑え込む
・本人が料理を手伝おうとしているのに「危ないから、あっちに行って」と拒む
・乾いていない洗濯物を取り込んでいるのをみて「なんで取り込むの」と怒る
・「もう面倒みませんよ!」と閉じ込める

 

上記のような行為は逆効果になります。絶対にしてはいけません。

 

 

 

【望ましい対応】

 

 

認知症になっても誰かの役に立ちたい、頼られたいと思っています。誰だって必要とされれば嬉しいもの。ほめる、感謝の言葉を伝えましょう。

 

新聞をとってきてもらう、食事前にテーブルをふいてもらうなど、簡単な役割をもってもらい、「いつもありがとう。お母さんがいて助かります」と、そのたびに感謝の気持ちを伝えます。本人の「自分はダメだ、役に立たない人間だ」という葛藤が和らぎ、落ち着くこともあります。

 

また暴力を暴力で返したり、力でおさえつけてはいけません。火に油を注ぎかねないので、その場を離れ、落ち着くまで様子をみます。落ち着いた時に、第三者と戻ります。

 

・「さすがですね」「上手ですね」と、ほめる
・「お父さんがいて助かります」と感謝する
・自分の言動が怒りのきっかけなら、とにかく謝る
・本人につられて興奮しない
・共感の気持ちで話を聞く「そうだったの」「大変だったね」「そうだね」
・落ち着いたら気分転換をはかる
・可能であれば別の介護者に任せる
・自尊心を傷つけるような言葉や態度に注意する
・介助する時は、声をかけてから体に触れる
・割り切って、本人の言い分をよく聞く
・服用している薬の副作用を疑う
・おびえない、緊張しない(おびえや緊張は伝わる)
・投げられて困るもの、危険なものはそばに置かない
・投げられても安全なティッシュの箱などを目につくところに置く

 

これらの対応で配慮しても暴力が続く場合、訪問介護サービスを利用したり、精神科など専門医の診察を受け、適切な薬を処方してもらうことも必要です。

 

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