もの盗られ妄想の原因と対処法

もの盗られ妄想の原因と対処法

泥棒

 

 

ここでは、もの盗られ妄想の原因と対処法をお教えします。

 

【もの盗られ妄想とは】

 

 

財布がなくなった。
大事な通帳が見当たらない。
あんたが盗ったんだろう。
通帳の残高が減っている。
あの人が家に来るたび、お金がなくなる。
宝石がみつからない。

 

もの盗られ妄想(ものとられもうそう)は、アルツハイマー型認知症の初期から現れる症状です。探し物が増えるようになり、しだいに人を疑いはじめます。

 

もの盗られ妄想は、日本では圧倒的に女性に多く、アルツハイマー型の43%の人に現れるというデータもあります。

 

なくなったものが見つかっても「誰かが隠した」と、自分がしまい忘れたことを認めようとしません(自分にとって不利なことは認めようとしない)。

 

「わたしは盗っていない!」と反論したり、「また、しまった場所を忘れただけでしょ!」のように訂正すると、妄想はさらに強くなります。

 

ここで重要なことは

 

・認知症が言わせている
・本人にとって、財布がないことが現実(たとえ、自分でしまい忘れたとしても)
・認知症の人は、自分に不利なことは認めようとしない
・あなたが一番身近にいるからであって、信頼されていないわけではない
・時期がくれば消失する言動

 

です。

 

介護者のあなた。泥棒よばわりされて傷つくのはわかりますが、反論せずに受け流しましょう。そして、介護者の周囲(夫や子ども)は、疑いを向けられている介護者を助けることが必要です。

 

 

 

【もの盗られ妄想の原因】

 

 

まず、本人が小さいころ経済的に苦労していたり、長い単身生活を経験している、などの生活履歴も関係しています。

 

自分で財布をしまったのに、その場所を忘れてしまう。けれど、財布がない(みつからない)ことは現実。すると、つじつまをあわせるために「誰かが盗んだ」「隠した」という妄想になります。ここで「認知症の人は自分に不利なことは認めない」という特徴がでます。

 

本人は、これまで自立して生活してきたのに一方的に介護を受ける立場になり、介護者に申しわけないと思っています。その追い目を解消する、介護者とのバランスをとるために「あの人(介護者)が盗んだ」「自分こそが迷惑をかけられている被害者だ」と、介護者を犯人にしたてあげることもあります。

 

相手にしてほしいのに、冷たくあしらわれた、邪険にあつかわれた場合、不安な気持ちから妄想がでることも。

 

 

 

【気をつけたい、もの盗られ妄想の対応】

 

 

・わたしは盗っていません!と強く否定する
・また自分がしまった場所を忘れたんでしょ!と非難する
・この家に泥棒はいません!
・ちゃんと探しましたか
・無視する

 

真っ向から強く否定をすると、相手は「すぐ否定するひと」「何か隠している」と思ってしまいます。

 

あなたが反論すればするほど、相手との精神的な距離はどんどん離れてしまい、さらに疑われたり責められたりするようになるので注意が必要です。

 

もの盗られ妄想は認知症などが原因でおきるもの。介護者であるあなたのせいではありません。「これは病気がさせていることだ」冷静に判断し、自分を責めないようにしましょう。

 

財布などの重要なものは常に同じ場所に置くようにします。短期記憶から長期記憶になって脳に残るので、発見もしやすくなります。

 

>>この時の本人の気持ち

 

・大事な物なのに、しまい忘れるわけがない(困惑)
・いつから自分は家族の厄介者になってしまったのだろう(失望と不安)
・自分は被害者なのに、なんてひどいことを言うのだろう(家族に迷惑をかけている追い目から逃れるため)

 

 

 

【望ましい、もの盗られ妄想への対応】

 

 

・「それは大変ね」と同情して、一緒に探す
・財布などをみつけても、自分でみつけるよう仕向ける
・見つかっても「やっぱりあったじゃない」と指摘しない
・見つかったら「よかったね!」と、一緒に喜ぶ
・普段から話を聞いてあげる
・見つからなければ「休憩してお茶を飲もう」と別の話題に変える
・日ごろ、本人が物をしまう場所をさりげなく確認しておく
・本人の訴えに耳を傾ける
・「集金の人が来たから借りました」と、その場だけお金を返す。あとでこっそり回収する

 

本人の発した言葉をそのまま返します。具体例「大変、財布がなくなった」と本人が発したら「大変、財布がなくなったのね。どこへいったのかしら」。

 

探している最中にみつけても、本人が探しだせるよう誘導します。他人が見つけて渡すと「お前が盗ったのか」と犯人扱いされることもあるので注意が必要です。

 

 

 

【本人のプライドが満たされる関係をつくる】

 

 

もの盗られ妄想は、家族に迷惑をかけている自分への自信のなさ、失望感が原因のひとつ。

 

そこで、本人にできることを積極的に頼み「ありがとう。あなたがいて助かります」と感謝の気持ちを伝え、自信をもたせましょう。

 

お年寄りが得意なことを教えてもらうのも効果的。本人のプライドが満たされると、もの盗られ妄想が落ち着くこともあります。

 

 

 

【もの盗られ妄想を減らす感謝の言葉】

 

感謝

 

・いつも助かります
・ありがとうございます

 

あなたがいると助かる、感謝していることを何度でも言葉で伝えましょう。

 

物を盗まれる妄想は、とくに認知症になると強く感じます。もの盗られ妄想は、大切なものを失う恐怖によって生まれるからです。

 

大切なものだからこそ失くしたくない。あの人がわたしから離れてしまったらどうしよう。わたしなんてもう必要がない人間だ。このように喪失感を覚えてしまうのです。現代は昔よりも不安を抱えた高齢者が増えているのも背景にあるのでしょう。

 

そこで感謝の声をできるだけかけるようにします。何か簡単なことをお願いすれば感謝の言葉をかける回数も増えます。

 

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