物を拾い集める、万引きをする

拾い集めや、万引きを繰り返す

パトカー

 

【店の物を勝手に持ってきてしまう】

 

警察庁の統計「平成25年の犯罪情勢」によれば、万引きで検挙された人の約3割は65歳以上の高齢者です。その中には、認知症で万引きを繰り返している人も少なからず含まれています。

 

お店としては、盗られた、盗ろうとしたことが事実であり、逮捕されれば社会的立場のある人は会社をクビになったり、窃盗罪で逮捕・起訴される可能性があります。

 

認知症(前頭側頭型)と診断されていない状態で万引きし、警察沙汰になる場合も多く。中年から初老期にかけての時期で万引きでつかまったときは、認知症を疑いましょう。

 

認知症と診断されれば、逮捕・起訴されても執行猶予がついたり、懲戒免職された公務員の処分が撤回されたこともあります。

 

 

 

【ひろい集めが始まったら要注意】

 

 

空き缶、ひも、袋、石、箱・・・・を大量に拾ってきて、捨てないで集める「ひろい集め」。

 

認知症になると収集行動をすることがあります。他人から見ればどうでもいいものを拾ってきては、ため込むのです。

 

本人としては、もったいないという意識だったり、不安な心を落ち着かせるためにやっている場合もあるので、叱責してはいけません。

 

ひろい集めが、近所の家の軒先にある物を黙ってもってきたり、お店での万引きにエスカレートすることもあるので、ひろい集めが始まったら注意をしましょう。

 

家がゴミ屋敷になるリスクもありますし、自治体によっては、ごみの持ち去りは処罰されます。

 

 

>>ひろい集めをする本人の気持ち

 

・わたしにとっては大切なもの
・物に囲まれていると安心する
・いざという時に役立つから準備している
・もったいないじゃない

 

>>気をつけたい対応

 

・こんなゴミばかりもってきて!と叱る
・汚いから捨てますよ
・黙ってすべて捨てる

 

あなたにはゴミでも、本人には大切な物。無理に片付けると「ひどい」「理不尽だ」という不信感だけが残ります。

 

また一度に全部捨てると「泥棒に入られた」と不安になることも。

 

 

>>望ましい対応

 

・本人にとっては心のよりどころなので、大切なものと考える
・大切なものなのね、と理解を示す(共感)
・物があることで精神的に安定する人もいるので、不衛生でなければ少しずつ処分する
・生活に支障がなければ、そのままにしておく
・専用の保管場所を決め、持ち帰った物はそこに置かせる
・本人がいない時に、少しずつわからないように処分する
・口に入れるもの(食品)は、賞味期限切れのものは処分する

 

捨てるにしても、異臭がするもの、カビの原因となるものから優先的に片付けましょう。

 

 

 

【万引きの原因と本人の気持ち】

 

 

認知機能が低下すると、もともと真面目な人でも社会のルールやモラルに反した行動をとることがあります。

 

たとえば、前頭側頭型認知症は「状況の判断ができない」「興味があることに自制ができない」といった症状があります。さらに前頭側頭型認知症の特徴には「常同行動(じょうどうこうどう)」といって、毎日同じことを繰り返します。

 

万引きの場合、自分の物と他人の物の区別がつかなくなる、レジでの会計の仕方を忘れた、ある物へのこだわりが強く自制がきかない、といった原因があります。

 

本人には、まったく悪気がありません。そのため、何度も同じ店でトラブルをおこしがち。

 

>>万引きをする本人の気持ち

 

・万引きはいけないことと知っているけれど、欲しかったから
・目の前に欲しいものがあったから、持ってきただけ
・自分がやったのか、なぜやったのか、よくわからない

 

 

 

【気をつけたい対応】

 

 

・「それ、どこから持ってきたの!」と問いつめる
・「万引きは犯罪だよ!」と責める
・「返してくる!」と無理やり取り上げる

 

本人にいくら「犯罪だから」と説明しても理解や納得はしません。悪いことをした自覚がないため、叱責すればするほど態度を頑なにさせます。

 

あなたが本人を怒れば怒るほど、「怒られた」「怖い人だ」という不快な感情が本人に残るのです。

 

 

 

【望ましい対応】

 

 

・持ってきた店がわかれば、謝罪に行く(認知症が原因であることを説明する)
・近所には事情を説明しておく
・外出には家族がつきあい、行動範囲を把握しておく
・トラブルが起きる前に、よく行く店には事情を話し、連絡先を渡しておく
・よく行く店には、診断書と本人の顔写真を持参し、説明しておく
・よく行くお店には、前もってお金を預けておく
・高額商品は、本人のいない時に返しに行く
・心に張りをつくる、趣味や生きがいをもたせる

 

 

 

【物集めや異食は孤独がひきおこす】

 

 

ティッシュや櫛を食べてしまう人がいます。本来なら食べられないもの、食べてはいけないものを食べてしまうのが異食(いしょく)です。

 

国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁先生の竹内理論によれば、認知症には6つの型があります。知的衰退型、身体不調型、環境不適応型、葛藤型、遊離型、回帰型です。そのうち葛藤型の特徴は、抑制されると激高する。異食や人集め、物集めをします。

 

とある特養でのこと。異食をする患者がベテランの職員が「自分が見ているときは異食をしない」ことに気づきました。つまり異食をする人は、孤独を感じると何でも口にしたくなっていたのです。そこで患者の部屋を勤務室のそばに移し、職員が通るたびに患者に声をかけたのです。患者はだんだん異食がおさまって、最後にはしなくなりました。

 

認知症の葛藤型は、孤独を感じることで人を呼んでしまう、物を集めてしまう、なんでも食べてしまう。所有欲が高くなりすぎて、さいごは食べてしまう。これらは一連の症状で、異食の人は同時に物集めもしていたりします。

 

竹内理論では、水飲み療法、運動、栄養のある食事、排便の4つが基本。これで2/3がよくなるとのこと。
これで治らない1/3の人もショッピングに行くなどして孤独を解消する。その症状にあわせたケアをすると2〜3か月で改善するそうです。

 

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