火の消し忘れ、タバコの不始末の原因と対策
【火の不始末が多くなる】
普通の健常者は「火は便利なもの。けれど怖い、危険なもの」と認識しています。わかっています。
けれど、認知症の人のなかには記憶障害が原因で「火は危険という意識が薄れてしまう」人がおり、火を危ないと思えなくなります。認知能力や判断力が低下すれば、火を雑にあつかうこともあります。
わざとではありません。物忘れに加えて、安全に対する判断力や注意力が低下した結果なのです。
たとえば、火を消し忘れたと気づいた時に「あ、そうだった」と思うのであれば、普通の老化です。けれど「火なんかつけていない」と言うのであれば初期の認知症を疑いましょう。
【一人暮らしは早急に対策をする】
認知症の人の中には、ガスコンロの火をつけっぱなしにする。タバコを紙クズのはいったゴミ箱に捨てる。風呂釜を空炊きする、など事故をおこします。
とくに一人暮らしの場合、自分の命だけでなく周囲にも迷惑をかけます。大事にいたる前に、ガスコンロからIH調理器に、ガスや石油ストーブを電気こたつに替えるなどの対策をしましょう。
認知症の人が、料理中に鍋をガスコンロにかけたまま、火を消し忘れる。タバコを火がついたままゴミ箱に捨てるケースは、大変多く見られます。
【火の不始末で気をつけたい対応】
ことが火だけに、家族も神経質になります。けれど、本人ができる炊事をさせないのは残っている能力を奪うことです。
高齢者から役割を取り上げると、人生の張りが失われてしまい、認知症が一気に進行することもあるので注意が必要です。
本人が「わたしはできる」「役割がある」「家族に必要とされている」と思えるよう、安全な機器を活用し、自信を与えます。
「キャベツの千切りは、母さんのほうが上手だから」とやってもらうことでリハビリ効果も期待できます。
・タバコを取り上げて、無理やり禁煙させる(隠れて吸うようになる)
・家事になったらどうするの!?と叱る
・火を使うなっていったでしょ!と怒る
・ほかに誰がいるの?母さんがやったに決まっている!
>>本人の気持ち
・わたしは本当にやっていない(怒り)
・なんで、人のせいにばかりするのだろう(不満)
・きついことばかり言われる(悲しみ)
・でも、もしかしたら自分がやったのかもしれない(不安と自信喪失)
本人には、火をつけたという記憶がなくなっているため、怒られたことに対しての理不尽な怒りや不満だけが残ります。
【火の不始末で望ましい対応】
認知症の人は、家族がいくら叱っても、火の不始末は繰り返します。安全な火の使い方に注意ができませんし、本人が火をつけたことを忘れてしまうのです。
だから、いくら責めても問いつめても、その後の事故防止にはつながりません。ここは、忘れることを前提に対処します。
火をつけていないから、火の消し忘れなんてあるハズがない。本人は、本気でそう思っています。
・できるだけ、一緒に炊事をする
・「これは母さんのほうが上手にできるから・・」と、米とぎや配膳、材料を切る、味付け、テーブルを拭く、といった火を使わない作業を担当してもらう
・タバコの管理は介護者がおこない、吸う時は目の前で吸わせる
・使わない時はガスの元栓を閉めておく
・火災報知機を設置する
・ゴミ箱は金属製のものにする
・マッチ、ライター、線香、ろうそくなどを隠す
・カーテンやカーペットなど、防炎製品を取り入れる
なお、認知症が進むとタバコを吸うこと自体を忘れてしまうことが多く、自然に問題は解消します。
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