アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)とは

アルツハイマー病

 

【認知症をひきおこす原因疾患】

 

 

認知症とは、ひとつの症状であって病名ではありません。認知症をひきおこす原因疾患は100以上あるといわれています。

 

病気など、さまざまな原因で脳の機能が低下し、記憶や判断力といった知的機能や感情面に障害をきたします。それまで普通にできていたことができず、日常生活に支障が発生します。

 

わたしたちが知っておくべき原因疾患は、以下の4つがあります。

 

・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症

 

この4つで原因疾患の9割を占めます。

 

 

 

【アルツハイマー病とは】

 

 

アルツハイマー病は、脳の神経細胞が壊れる(壊死する)ことによって生じます。40歳から90歳のあいだで発症し、女性のほうが多い傾向にあります。

 

アルツハイマー型の1/3は、脳血管性を合併している混合型といわれます。

 

アルツハイマー型は、物忘れから始まることが多く、症状は進行していきます。人格が変化し、日常生活でできることが少しずつ減っていくのが特徴です。

 

物忘れだけでなく、その他の症状が必ずみられます。物忘れだけではアルツハイマーと診断されません。

 

自分が病気であるという自覚に乏しいため、周囲が「おかしいな」と感じたら受診を促しましょう。なお、歩行障害や運動障害は末期まで見られないので、介護をしやすい認知症といえます。

 

 

 

【アルツハイマー病の原因】

 

 

アルツハイマー病は、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーにちなんでつけられた名前です。

 

脳の中にアミロイドβ(べーた)という異常なタンパク質が沈着して、老人班(ろうじんはん)というシミができます。さらに神経細胞の内側に「タウ」と呼ばれるタンパク質が糸くず状にたまります。これら神経線維の束が広がり、正常な神経細胞を壊し、脳を小さくすることで発症するのです。

 

アルツハイマー病の経過は個人差が大きいため、数年で寝たきりになる人もいれば、知能の衰えはあっても10年以上、自立した生活を続けられる人もいます。

 

 

 

【アルツハイマー病になりやすい遺伝子】

 

遺伝子

 

アルツハイマー型認知症になりやすい危険因子として知られているのが、アポリポタンパクE4と呼ばれる遺伝子です。

 

この遺伝子を片親から受け継いだ場合、アルツハイマー病の発症リスクは3倍、両親から受け継いだ場合は10倍以上も高くなるといわれています。しかしアポリポタンパクE4の遺伝子をもっていても発症しない人もいます。

 

さらに2012年に米スタンフォード大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校・ロサンゼルス校らの研究チームによれば、この遺伝子の影響を受けるのは女性だけで男性は影響がみられないと研究結果で発表しています。

 

この遺伝子をもっていても、適度な運動で発症の予防効果が高いといわれています。

 

 

 

【認知機能と関わる物質 ホモシステイン】

 

ホモシステイン

 

ホモシステインは悪玉アミノ酸。ホモシステインの濃度が高いことと認知機能の低下には、あきらかな相関関係があります。

 

1999年に報告された研究では、164名のアルツハイマー病患者たちのホモシステインの血中濃度が、健常者と比べあきらかに高かったことがわかっています。

 

アメリカの研究では、認知症のない高齢者1092名を8年間追跡調査したところ、血漿ホモシステイン濃度が14nmol/mlを超えると、アルツハイマー病の発症リスクがほぼ倍になりました。

 

スウェーデンの大学の研究では、ホモシステイン値がもっとも高い中年女性のグループは、もっとも低いグループに比べ、20〜30年後に脳梗塞を起こすリスクが3倍、アルツハイマー病になる確率が2.4倍というデータがでました。

 

ミシガン大学の研究でも、ホモシステイン値が高いと認知症の前段階である老化に伴う認知機能障害をきたす確率が240%も高くなるという報告がされています。

 

 

 

【アルツハイマー病を早期発見する方法】

 

 

認知症の原因疾患の約6割を占めるのが、アルツハイマー病です。物忘れなど記憶障害に始まり、少しずつ身体機能が衰えます。

 

以下で思いあたることがあったら、専門家に相談しましょう。

 

・電話の相手を切ったらすぐに忘れる
・何度も同じことを言う、聞く、する
・常に探し物をしている
・財布などを盗まれたと疑う
・料理や車の運転でミス(事故)が増えた
・新たなことが覚えられない
・話のつじつまがあわない
・好きだったテレビを見なくなった(ドラマなど内容が理解できない)
・約束の日時を守らなくなった
・自宅ちかくでも迷う
・すぐ怒るようになった
・頑固になり、周囲に気づかいができなくなった
・ミスを人のせいにする
・近所の人から「様子がおかしい」と言われた
・一人でいると不安がる
・本人が「頭がへんになった」「おかしい」と訴える
・お洒落だったのに、身だしなみに気を使わなくなった
・いつも同じ服を着ている
・趣味に興味を示さなくなった
・ぼんやりしている、なにもしなくなった、ふさぎこんでいる

 

 

 

【認知症の予防に有効な果物】

 

 

アルツハイマー病の予防に有効だと認められているものに「果物」と「野菜」があります。

 

アメリカの大学が行った疫学調査の結果によれば、コップ1杯(240ml)の果物や野菜の生ジュースを週に3回飲むひとは、週1回未満の人にくらべ、アルツハイマー病の発症率が73%低いことがわかっています。

 

果物や野菜の生ジュースを飲むと、アルツハイマー病の発症リスクが大きく減少するという結果は、その他の大学の研究でも認められています。

 

そして果物などの食品からのビタミンEの摂取は、アルツハイマー病の発症を抑えることが明らかにされています。

 

またアメリカのマサチューセッツ大学で行った動物実験によれば、減少するとアルツハイマー病の原因とされているアセチルコリンが、濃縮リンゴジュースを与えたマウスで増加しています。

 

アルツハイマー病の予防に役立つ可能性がリンゴにはあります。

 

 

 

【アルツハイマー病の症状の進行について】

 

無表情

 

認知症の種類にもより多少ちがいますが、アルツハイマー病における症状の進行について説明します。

 

>>軽度の症状

 

友人との交際が減る。鍵や財布などを置き忘れる。暗算ができなくなる。財布の中が小銭でいっぱいになる(計算ができなくなる)。釣銭をまちがえる。買い物をして同じものを買ってくる。物盗られ妄想がでる。薬を飲み忘れる。同じことを何度もたずねる。なんでもメモをする。頑固になる。話があちこちにそれる。不注意、聞き間違い、思い違いが増える。憂鬱な気分がふえる。被害妄想がでる。日付や場所がわからなくなる。近所で道に迷う。

 

>>中等度の症状

 

洋服やお洒落に無頓着になる。冷蔵庫の中に携帯電話や財布、時計が入っている。風呂に入らず臭う。つねにイライラする。食事したことを忘れる。徘徊がはじまる。ゴミのようなものを集める。配偶者にきつくあたる。興奮しやすい。

 

>>高度の症状

 

服の着脱ができない。入浴を嫌う。入浴や食事の仕方を忘れる。家族がわからない。大便を手にする(大便が何かわからなくなる)。万引きをする。失禁する。異食をする。

 

>>終末期の症状

 

寝たきりになる。食事が少なくなる。食べ物が飲み込めない。肺炎になる。無表情になる。

 

 

 

【質のよい睡眠がアルツハイマー病を予防する】

 

 

アルツハイマー病の原因は、脳内にたまったゴミ「アミロイドβ(ベータ)」です。じつは、寝ているあいだに脳にたまった「アミロイドβ」が排出されます。

 

オランダの研究では、たった一晩徹夜をしただけで脳にアミロイドβが蓄積することがわかっています。質のよい睡眠を心がけましょう。

 

 

 

【非アルツハイマー型高齢者タウオパチーとは】

 

非アルツハイマー型高齢者タウオパチー

 

アルツハイマー病と同じように脳の海馬周辺に萎縮がみられ、物忘れなどの記憶障害があるものの、認知症への進行が非常に緩やかな病気が「非アルツハイマー型高齢者タウオパチー」です。

 

アルツハイマー病では、アミロイドβタンパクとタウたんぱくが脳内にたまりますが、非アルツハイマー型高齢者タウオパチーはアミロイドβたんぱくの蓄積がみられません。

 

アルツハイマー病が軽度認知障害(MCI)から認知症に進行しやすいのに対して、非アルツハイマー型高齢者タウオパチーは軽度認知障害でとどまっている状態が多くみられるのです。

 

アミロイドβやタウたんぱくを調べることのできる検査が登場すれば、アルツハイマー病と非アルツハイマー型高齢者タウオパチーとの診断ができるようになるかもしれません。

 

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