マインド食がアルツハイマー型認知症の予防につながる
2015年、アメリカのラッシュ大学医療センターの研究グループが、「マインド食がアルツハイマー型認知症予防につながる」という研究結果を発表しました。
アメリカに住む58〜98歳の男女およそ1千人を約5年間追跡したところ、15項目中9項目以上を達成できたひとのアルツハイマー型認知症の発症リスクは、5項目以下の人たちに比べ53%減少し、半分程度の項目を実行した人でも3割ほど減少したそうです。
(週刊朝日MOOK すべてがわかる認知症2017 より引用)
マインド食は複数の栄養素を食事に取り入れることで、アルツハイマー型認知症のリスクが大幅に減少することがわかってきており、認知症予防の新しい食事法として注目されています。
心疾患の予防に効果があるとされる地中海式食事法と、高血圧を防ぐとされるDASH(ダッシュ)食を組み合わせたものが、マインド食です。
地中海式食事法は野菜、豆、果物を中心に、オリーブオイルや魚介類。DASH食はコレステロールや脂肪を控え、塩分の排出作用があるミネラルを摂る食事法です。
【認知症予防に効果的な食材】
マインド食における認知症の予防に効果的な食材は10種類あります。かっこ内は栄養素の名前です。
・緑黄色野菜(カロテノイド)
・そのほかの野菜(食物繊維)
・ナッツ類(αリノレン酸)
・ベリー類(アントシアニジン)
・豆類(大豆イソフラボン)
・全粒穀物(ビタミン・ミネラル・食物繊維)
・魚(DHA / EPA)
・鶏肉(イミダゾールジペプチド)
・オリーブオイル(オレイン酸、ポリフェノール)
・ワイン(ポリフェノール)
また避けたい食材として5種類がリストアップされています。
・赤身の肉
・バター
・チーズ
・お菓子
・ファストフード(ハンバーガーなど)
・塩(1日6グラム未満)
日本人は世界中でもっとも塩分を摂取する民族のひとつ。食塩の摂りすぎは高血圧をひきおこし、脳の血管を傷つけたり詰まらせたりします。
血管性認知症で最大の原因は、高血圧からの脳卒中です。認知症の2割から3割が、この血管性認知症なため、食塩を1日6グラム以下にすればリスクはかなり減るでしょう。
【高血圧を防ぐDASH食とは】
DASH(ダッシュ)食とは、「高血圧を防ぐ食事方法」のことで、Dietary Approaches to Stop Hypertenshion の略。日本でも高血圧治療ガイドライン2009に、その効果が紹介されています。
DASH食のポイントは4つ。
・カリウムを多くとる
・食物繊維を多くとる
・カルシウムとマグネシウムを多くとる
・飽和脂肪酸とコレステロールを含む食品を減らす
>>カリウムを多くとる
ほうれんそう、かぼちゃ、にら、春菊、こんぶ、干しわかめ、バナナ、いよかん、すいか、さつまいも、じゃがいも、納豆、絹ごし豆腐などにカリウムは多く含まれます。果物はカロリーが高いので、野菜からとるのがおススメ。
カリウムは、血圧を上げる原因となる体内の余分なナトリウムを排泄する働きがあります。ただし、腎機能が低下している人はカリウムがうまく排泄できず、高カリウム血症を発症することがあるので注意が必要です。
>>食物繊維をとる
食物繊維は、かぼちゃ、納豆、ブロッコリー、ごぼう、ほうれんそう、さつまいも、なめこ、小松菜、キャベツ、しいたけ、玄米ごはん、などに多く含まれます。
人体には吸収されない成分ですが、便秘や大腸がんの予防、コレステロール低下、ナトリウム排泄を促す、血圧の上昇を抑える、などその効用は多岐にわたります。
低脂肪食を基本に、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど塩分を体の外に排出する効果のあるミネラルや食物繊維をとります。また海藻もあわせて摂りましょう。海藻にはカリウムの吸収を助け、塩分排出効果のアルギン酸が多く含まれています。
DASH食を調査・研究・開発したのは、アメリカ国立衛生研究所。この食事法を2か月間続けたところ、平均で11.4mmHgも血圧が下がったことが報告されています。
>>カルシウムとマグネシウムを多くとる
骨をつくるミネラルのカルシウムには血圧を低下させる作用があります。脱脂粉乳、牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、海藻に多く含まれています。吸収率がよいのは乳製品です。
マグネシウムは落花生、ごま、アーモンド、こんぶ、ひじき、納豆、絹ごし豆腐、ほうれんそう、とうもろこし、春菊などに多く含まれています。血管の拡張を促す成分を増加させ、血圧を下げるホルモンの分泌を抑える作用があります。
>>飽和脂肪酸とコレステロールを含む食品を減らす
脂肪(脂質)は、人間の重要なエネルギー源であると同時に細胞の成長やビタミンの吸収を助けるといった大切な役割があります。
脂質はおもに脂肪酸からできており、脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。DASH食では飽和脂肪酸を控えることが推奨されています。EPA・DHAといった体にいい油といわれることの多い不飽和脂肪酸をとりましょう。
コレステロールは脂質の一種。人間の体の中で細胞膜や胆汁酸(消化液)、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料となる、人体を維持するのに欠かせない物質です。
それでも摂りすぎは動脈硬化につながるので、動物性脂肪やコレステロールの多い食品には気をつけましょう。
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