歯周病とアルツハイマー型認知症の関係について
歯の残存数が20本以上ある人と、歯がなく義歯もつけていない人とでは、認知症になるリスクは1.9倍と大きな差異が見られたのです。咀嚼力が低いと感じている人もまた、1.5倍のリスクがあることがわかりました。
(週刊朝日MOOK すべてがわかる認知症2017 より引用)
アルツハイマー型認知症で亡くなった人の脳からは、歯周病菌のなかでもとくに凶暴なピリフィロモナス・ジンジバリスの内毒素であるLPSが高い頻度で検出されています。一方、アルツハイマー型認知症ではない人からは、まったく検出されなかったと報告されています。
出典 journal of Alzheimers Disease 2013
(法研 歯周病が寿命を縮める より引用)
実際にマウスを使った実験からは、歯周病が認知症の一つであるアルツハイマー病の悪化因子であることが示唆されました。
(法研 ウルトラ図解 歯周病 より引用)
東北大学大学院の渡邉誠教授らの研究では、歯の数が少ない人ほど、認知症と深く関わる脳の海馬や前頭葉が萎縮していることも明らかにしています。つまり、いかに高齢になっても健康に歯を数多く維持するかが、認知症予防に効果を発揮するのです。
(日東書院 図解 むし歯・歯周病の最新知識と予防法 より引用)
歯周病と認知症の関係は、いまだ解明されていない部分が多くあります。しかし、さまざまな研究報告から歯周病と認知機能の深いかかわりが浮き彫りになってきています。
いつまでも自分の歯で食事ができるように、歯周病を予防・治療したほうがいいことは間違いありません。
【歯周病とは】
歯周病は、成人の8割以上がかかっているといわれます。
人間が歯を失ういちばんの原因が歯周病です。歯周病は、歯垢や歯石によって歯を支える歯ぐきに炎症がおこり、歯を支える骨が破壊される病気です。進行すると歯が抜け落ちてしまいます。
虫歯は歯垢のなかの虫歯菌が酸をつくり、歯を溶かしてしまう病気のこと。虫歯菌は食べ物のなかの糖分を餌にして増えるため、甘い物が好きな人ほど虫歯になりやすくなります。
歯周炎がある人は、歯ぐきが下がり歯の根元が露出します。そのため健康な人と比べると、歯が長くみえます。
【歯周病が全身におよぼす影響】
歯が20本以上残っている人に比べて、歯が数本しか残っておらず、義歯を使わない人の認知症リスクは1.9倍、かかりつけ医のない人はある人に比べて認知症リスクは1.4倍にもなります。
歯周病は、全身にさまざまな影響をおよぼすことがわかっています。歯周病菌によってつくられた様々な物質は、血液にのって体のすみずみにまで運ばれるためです。
・脳卒中や心筋梗塞、狭心症 歯周病菌によって動脈硬化が進行する(リスクは倍以上)
・糖尿病 血糖値が高い状態が続きやすくなる
・肥満 脂肪をためこみやすい体質になる
・誤嚥性肺炎
・骨粗しょう症
・早産や低体重児出産(リスクは5倍以上)
・認知症を発症する危険性が高まる
・関節リウマチ(膝関節滑液から何倍もの歯周病菌が検出されるという報告がある)
たとえば、全国のさまざまな自治体がおこなった調査では、歯の残り本数が多いひとほどかかる医療費が少なく、入院や通院の日数も少ないという結果がでています。
また糖尿病の人は健康な人にくらべ2倍以上も歯周病にかかりやすく、また悪化しやすい点があります。反対に歯周病があると、糖尿病を重症化させます。
【歯周病の治療】
「かかりつけ歯科医師がいない」という人は、「いる」人に比べて1.4倍も認知症になるリスクが高いという結果が厚生労働科学研究所によって明らかにされています。
歯医者では、歯周病菌が住んでいる歯垢や歯石をとりのぞくことが基本。歯医者で歯や歯ぐきの状態を検査してもらいましょう。
治療の流れとしては
・歯周病検査
・歯みがき方法の指導
・歯石の除去
・再検査
・改善がみられない場合には、歯周外科手術が行われることもある
となります。
【歯周病の予防法】
歯周病の予防は、正しい歯みがきをすることが基本です。
口の中の細菌は虫歯や歯周病をつくります。寝ているあいだに口の中では細菌が10倍以上も増殖しています。起床したらすぐに歯を磨きましょう。あとは食後の3回と寝る前の1日5回磨くと効果的です。
タバコはやめましょう。ストレスも免疫の働きを低下させて炎症をおこしやすくします。
またレモン果汁やお酢など酸性の強いものは、歯を溶かす働きがあります。だらだらと食べず、食べたあとは口をゆすいだり、歯を磨きましょう。
歯周病の発生と進行を促進する因子は
・喫煙(歯肉への血液の流れが悪くなる。免疫力が低下する)
・ストレス
・生活習慣の乱れ(歯みがきしない)
・歯並びやかみ合わせが悪い
・思春期や妊娠中などホルモンのバランスが崩れやすいとき
・甘いものを好む
・薬の長期服用
・糖尿病(免疫力が低下している)
・遺伝(免疫力の強い人と弱い人がいる)
などがあります。
なかでも喫煙は一番のリスクとされています。喫煙者の歯周病罹患率は、非喫煙者の3倍から8倍と高く。喫煙者は治療してもなかなか改善されないため、手術を歯科医師から断られることもあるくらいです。
【喫煙は歯周病のリスクが高くなる】
喫煙は歯周病の最大の危険因子といわれています。タバコの煙には約4千種類の化学物質が含まれており、うち約200種類が有害物質で発がん物質も約70種類あるといわれています。
とくに口はタバコの煙が貯まる、通過することで直接影響を受けます。血液を介することで間接的にも影響を受けています。歯肉の腫れや出血が少なくなるため、歯周病であることに気づきにくくなります。
喫煙の口内への影響は、歯肉が下がる、食べ物が詰まる、歯周病の罹患率が高く重度であること。たとえ歯科医で治療をはじめても歯肉の治りが遅く、ふたたび悪化する傾向にあります。
禁煙によって歯周病の改善だけでなく、口腔がんや様々な病気のリスクが減少。食べ物も美味しく感じられるでしょう。同じ家庭にすむ家族への受動喫煙被害もなくなります。
ぜひこの機会に禁煙することをおススメします。
【歯周病専用の歯磨き粉を使う】
薬事法によって歯磨き粉に認められている効能・効果があります。
歯周病の予防や対策には、以下の効果が認められている医薬部外品のフッ化物配合歯磨剤を使いましょう。
・歯周病の予防
・歯肉炎の予防
・歯石の沈着を防ぐ
・むし歯の発生および進行の予防
・口臭を防止
・タバコのやに除去
【デンタルフロスを併用すべし】
どんなに上手に歯を磨いても、歯垢がつきやすいところは磨き残しがあったりします。とくに歯と歯の間などは、歯垢がつきやすいうえ歯ブラシの毛先が当たりやすいところです。
これらの場所は歯みがきだけでなく、デンタルフロス(糸ようじ)を上手に活用します。歯と歯の間にフロスを通し、3回から4回ほど往復させて歯垢を取りましょう。
【電動音波歯ブラシのすすめ】
電動歯ブラシは、歯みがきに自信がないひと、歯みがきを徹底したい人にむいています。時間短縮にもなるのでおすすめです。
いろいろなメーカーから電動歯ブラシは発売されていますが、音波ブラシならば毛先が届かない場所の歯垢も落とすため、歯周病に悩むひとは音波歯ブラシを使いましょう
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