十全大補湯がアルツハイマーの原因物質を消した

十全大補湯がアルツハイマーの原因物質を消した

 

(婦人科疾患によく用いる漢方製剤の十全大補湯は)基礎研究において、脂肪肝の抑制、あるいは改善作用、アルツハイマー病の予防、血管新生の抑制作用、免疫増強作用、癌転移抑制作用、抗腫瘍活性作用、骨粗鬆症の改善作用、真菌感染の予防、胆汁分泌の促進作用が報告されている。

 

Hara H,et al. J Alzheimers Dis 20:427,2010

 

(ナツメ社 基礎からわかる漢方の服薬指導 より引用)

 

漢方薬「十全大補湯」がネズミの脳のシミ「老人斑」を消した!軽度認知障害を改善し、認知症予防の可能性も。

 

(主婦の友インフォス情報者 健康 2015年1月号 より引用)

 

高齢者では、免疫機能が低下しているケースが一般的です。西洋医薬には、免疫賦活作用をもつ薬は少ないのですが、漢方薬には十全大補湯など免疫賦活作用をもつ処方が多くあり、生体防御力を強める効果があります。

 

(技術評論社 すぐに使える漢方薬入門 より引用)

 

アルツハイマー病は、脳にアミロイドベータというタンパク質がたまり、老人斑というシミができ、脳が萎縮していく病気です。この老人斑が脳にたまらなければ、またはたまっても消すことができればアルツハイマー病の発症はしないと考えられています。

 

じつはこのアミロイドベータを取り除く細胞があります。ひとつがミクログリア、もうひとつが白血球の一種のマクロファージです。

 

漢方薬の十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、からだ全体を補強する目的で使われます。

 

十全大補湯には免疫を高め、マクロファージを活性化する働きが知られています。

 

 

 

【マウスのアミロイドベータがきれいに消えた】

 

 

順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学客員教授の田平武さんらは、マウスを使った試験をしました。

 

脳にアミロイドベータが蓄積されたマウスを「十全大補湯を溶かした水を飲ませたグループ」と「ただの水を飲ませたグループ」の2つに分け、一か月後に脳内のアミロイドベータの量を比べました。

 

結果は、十全大補湯を飲ませたマウスの脳からアミロイドベータがきれいに消えていたのです。

 

さらなる実験では、アミロイドベータを食べる細胞のミクログリアに十全大補湯をかけたところ、ミクログリアの活性が上がりました。同様にマクロファージにも十全大補湯をかけたところ、同じようにマクロファージの活性も上がったのです。

 

人間の若いころなら、骨髄からやってきたマクロファージが脳内のアミロイドベータを食べて掃除をしてくれます。そのためアミロイドベータが脳にたまらず、アルツハイマー病にならないわけです。しかし年をとるとマクロファージが脳に入ってこなくなり、アミロイドベータを食べてくれなくなります。

 

つまり、わたしたちの体を若く保ち骨髄から脳にマクロファージを送り続けるかがアルツハイマー病予防のヒントになると考えられます。

 

田平武教授によれば、人間が十全大補湯をとるのであれば、最近すこし物忘れが激しくなってきたかなという軽度認知障害の時期に予防的に1日分の量(顆粒で5グラム程度)を飲むとよいのではないかと思います、とのこと。

 

ただし十全大補湯に含まれる甘草にはカリウムを減らしてナトリウムを増やす作用があります。血圧が高い人は長期間飲み続けないほうがいいでしょう。

 

また顔や手足がむくんだり、手がこわばる、手足がしびれる、発熱、かゆみ、発疹、皮膚や白目が黄色くなる、体がだるいといった症状がでたら服用をやめましょう。

 

 

 

【十全大補湯とは】

 

 

漢方薬の十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、病気に対する抵抗力が落ちたとき十全(完全)に大きく補う湯液が名前の由来です。

 

黄耆(オウギ)、桂皮(ケイヒ)、 地黄(ジオウ)、 芍薬(シャクヤク)、蒼朮(ソウジュツ)、川きゅう(センキュウ)、当帰(トウキ)、人参(ニンジン)、茯苓(ブクリョウ)、 甘草(カンゾウ)の10種の薬草をブレンドした漢方薬です。

 

一般的に疲れてだるい、食欲がわかない、手足が冷える、顔色が悪い、貧血ぎみなど、体力が低下した人や病気などで衰弱した人の気力を補うために処方されます。がん患者が抗がん剤で免疫力が落ちると免疫機能を高めるために使われます。

 

 

 

【漢方薬とは】

 

 

漢方薬は、自然の生薬から生まれた薬です。生薬は薬の原料になる天然物で、植物・動物・鉱物などを用いています。もっとも多い生薬は植物由来のもの。生薬の多くは中国から輸入しています。

 

漢方薬は、昔の人がいろいろと試して経験的に効くとされてきたものを、今も受け継いでいます。

 

西洋薬の多くが一つの有効成分で特定の症状にのみ働きかけるのに対して、漢方薬はいろいろな成分を含み、多様な症状に働きかけます。また漢方薬の作用は穏やかで、副作用も比較的すくない傾向にあります。

 

ただし漢方薬に副作用がまったくないわけではありません。服用には注意が必要です。

 

 

 

【漢方薬を飲むタイミングはいつ】

 

 

漢方薬を飲むタイミングは、基本的に食前または食間です。

 

食前は食事する30分から一時間前に飲みます。食間は食事と食事のあいだの空腹時か、食後約2時間したら飲みます。漢方薬は空腹時のほうが体にすばやく吸収されるからです。

 

 

 

【漢方薬を選ぶときの方法】

 

 

どの漢方薬があうかは人によってちがいます。その人の体質や症状がどんな状態かを判断し、薬を選ぶ参考にします。

 

たとえば陰と陽(寒さと熱さ)。寒がりで厚着を好むのであれば陰タイプ、暑がりで薄着を好むなら陽タイプです。また、体力のない虚と体力がある実にも分けられます。性格が消極的で疲れやすく、声が小さいやせ型なら虚タイプ。性格が積極的で疲れにくい筋肉質または小太りで声が大きいなら実タイプです。

 

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)は、体力・気力の弱ったひとのための薬なので、「虚」で「陰」な人によく処方されます。

 

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