治る、治らない認知症を知る

治る認知症、治らない認知症を知る

 

【単なる物忘れとの違い】

 

 

認知症とは、記憶力や判断力などが鈍り、生活が困難になっている状態を指します。本人に自覚がある、日常生活が支障なく送れる加齢によるもの忘れとは違います。

 

 

 

【治らない認知症とは】

 

 

治すのは難しいけれど、予防できるものがあります。

 

・脳血管性認知症
・動脈硬化による脳梗塞
・脳出血

 

治すことがむずかしいもの。

 

・アルツハイマー病
・レビー小体型認知症
・前頭側頭葉変性症
・その他の変性疾患

 

 

 

【治る認知症を知る】

 

 

じっさいの診断では、治る認知症から考えます。それでも原因がわからなければ、アルツハイマー病を考えるのが順番です。

 

治る認知症かどうかは、尿や血液を採る、CT、MRI、X線撮影、脳波検査、本人や家族の話を聞きます。

 

アルツハイマー病は、記銘力の障害がまずでます。新しいことが覚えられなくなることが特徴で、進行がゆっくりしています。

 

症状の出方や進行が急な場合は、治る認知症を疑いましょう。

 

ここでは治る認知障害(認知症)について説明します。

 

 

 

【脳外科的に治療する病気の原因と対応】

 

 

>>慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)

 

転倒や落下で頭を打って頭蓋内で出血が起こると、硬膜(こうまく)と、くも膜のあいだに血腫ができます。

 

血腫が大きくなり脳を圧迫すると頭痛、吐き気、嘔吐、手足の麻痺、意識障害がでます。原因はCT検査ですぐに判明し、手術で血腫をとると元に戻ります。

 

>>正常圧水頭症(せいじょうあっすいとうしょう)

 

頭の中や脊髄の表面には髄液(ずいえき)という水が流れています。この髄液が脳室に溜まり、脳室が広がり、水頭症という状態になります。

 

広がった脳室にシャントというストローを入れ、水を抜くことで脳室が元の大きさに戻ることで治ります。発見が遅れ、症状が進んでいると手術の効果が期待できないため、早期発見・早期治療が重要です。

 

症状は、3つ。歩行障害、認知障害、尿失禁。

 

2017年2月、山形大学医学部が突発性正常圧水頭症(iNPH)のリスク遺伝子(SFMBT1)を発見しました。

 

>>脳腫瘍(のうしゅよう)

 

頭蓋骨の内側に腫瘍ができ、脳機能が低下したり、頭痛や嘔吐、けいれんの症状。腫瘍を手術で取り除きます。

 

>>頭部外傷

 

頭蓋骨骨折、脳挫傷などで脳機能が低下。脳外科的治療で、血腫をとります。

 

 

 

【脳梗塞は夏に増える】

 

脳梗塞の前兆 FAST

 

脳の血管が血栓で詰まり、血流がとだえてしまい脳の組織が死んでいく病気が脳梗塞(のうこうそく)。血管性認知症の原因のひとつです。

 

脳梗塞は6月から8月の夏にもっとも発症が増えます。その原因は脱水症状。汗で体の水分が失われると、血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。

 

脳梗塞は原因によって3つに分かれます。

 

・脳の細い血管が詰まるラクナ梗塞
・脳の太い結果や頸動脈に血栓ができて詰まるアテローム血栓性脳梗塞
・心臓にできた血栓が血流に乗って脳に運ばれ太い血管を詰まらせる心原性脳塞栓症

 

とくに夏に発症しやすいのがラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞です。夏の脳梗塞を防ぐには、こまめな水分補給が大切です。喉の渇きを感じていなくても、意識して麦茶や番茶などの水分をとりましょう。コーヒーやビールは発汗作用や利尿作用があるので避けます。

 

脳梗塞は発症から時間が経過すればするほど、重い後遺症を残しやすくなります。半身まひ、言語障害、さいあく命を落とします。血栓を溶かす薬や治療を数時間内に受ければ、症状が改善する可能性もあります。

 

脳梗塞の予防法は、兆しをみつけ一刻も早く医者にかかること。発症の兆しは「FAST(ファスト)」で覚えます。FはFace(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)、Time(時間)。

 

顔がゆがんだり、片方だけ下がる。片方の腕だけ上がらない、力が入らない。言葉がでなくなったり、ろれつがまわらない。

 

そして、1つでも症状があったら一刻も早く救急車をよびます。ためらってはいけません。

 

 

 

【内科的に治療する病気の原因と対応】

 

 

内臓の働きが落ちて、老廃物がたまったり、栄養素を取り込めなくなると脳の機能が低下します。脳機能が落ちると、認知症になったような状態になります。

 

原因の臓器を治療したり、栄養を補うことで脳の働きが回復します。

 

>>臓器の不具合によって脳機能が低下する状態

 

・腎不全による尿毒症
・肝不全による高アンモニア血症
・心不全による脳血流不足
・呼吸不全による低酸素血症

 

>>ホルモンの過不足で脳機能が低下する状態

 

ホルモンの過不足によって脳機能が低下します。たとえば、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンの分泌が少なくなると、元気がなくなったり、倦怠感、記憶録の低下を起こします。

 

・甲状腺機能低下症
・脳下垂体機能低下症
・副腎皮質機能低下症

 

>>ビタミンなどの欠乏症により脳機能が低下する状態

 

ビタミン不足が原因です。専門医の診察を受けましょう。

 

・ビタミンB1欠乏症(ウェルニッケ脳症)
・ニコチン酸欠乏症(ペラグラ)
・ビタミンB12欠乏症
・葉酸欠乏症

 

>>薬物による脳機能の低下

 

服用している薬を多く飲んでしまったり、体のわりに薬が多めでぼんやりしたりします。

 

・精神安定剤
・睡眠薬
・抗がん剤
・抗生物質

 

>>神経感染症による脳機能の低下

 

脳の感染症や後遺症によって脳の機能が低下します。

 

・ウィルス性脳炎
・細菌性髄膜炎
・結核性髄膜炎
・真菌性髄膜炎
・脳膿瘍(のうのうしょう)

 

 

 

【治る認知症が検査されずに見逃される恐れ】

 

医師

 

認知症の多くは治すことができないけれど、全体の1割は適切な時期に治療すれば回復が可能とされています。たとえば治療可能な認知症の一つに甲状腺機能低下症があります。

 

甲状腺機能低下症は症状だけでは診断がつきにくいのが特徴です。しかし一般的な血液検査で調べられるうえ、甲状腺ホルモンを補充すれば回復が見込めます。検査は診療指針でも推奨されています。

 

甲状腺機能低下症の発見で重要になるのが医師による診断です。けれど医師が認知症を診断するさい、実施が推奨されているこの検査が十分に行われておらず、治療可能な認知症が見逃されている恐れがあります。

 

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>>>認知症は早期発見・早期治療が重要