回想法をベースにしたレクリエーション 人生紙芝居

回想法をベースにしたレクリエーション 人生紙芝居

人生紙芝居

 

回想法をベースにしたレクリエーション「人生紙芝居」は、お年寄りの人生を10枚の紙芝居に凝縮させた、世界でただ一つの紙芝居です。ストーリーに盛り込まれた家族の名前、懐かしい故郷の地名、がむしゃらに働いた現役時代・・・。自分が主人公の紙芝居を観たお年寄りの表情がいきいきと輝き出します。認知症の方にも有効なレクリエーションです。

 

(講談社 奥田真美・著 新しい回想レクリエーション「人生紙芝居」より引用)

 

認知症の進行抑制に効果!家族でもできる回想療法。認知症を進行させないためには、回想療法が効果的といわれている。回想療法は、精神科のプロが研究と実践を重ねてきた治療法で、昔の写真や思い出の品を頼りに患者の記憶を刺激するもの。正しい方法さえ身につければ家庭でもできるもので、じわじわと全国に広がり、明らかな効果を上げている。

 

(祥伝社 小山敬子・著 なぜ「回想療法」が認知症に効くのか より引用)

 

 

 

【人生紙芝居とは】

 

かみしばい

 

人生紙芝居とは、お年寄りの人生を10枚程度の紙芝居に凝縮したもの。創作紙芝居です。

 

人生紙芝居は単なる紙芝居を観る、作る、演じるだけではありません。主人公であるお年寄りと介護施設の職員が一緒に紙芝居を作り上演します。主人公の人生を語るので、他のお年寄りとの関係も良好にします。認知症をふくむ要介護老人の自己肯定感を上げ、問題行動が改善することさえあります。

 

人間関係のトラブルの原因は、お互いの理解不足にあります。そして人は自分のことが大好き。なにより自分のことを語りたい。知ってほしい。

 

人生紙芝居を作るには、その主人公であるお年寄りや家族から聞き取りをしなければなりません。つぎに紙芝居をつくる作業を皆で一緒にして、最終的にできあがった紙芝居を鑑賞します。

 

 

 

【人生紙芝居の作り方】

 

紙芝居

 

日本風、昔話風の紙芝居では演じ方が未熟だったりすると、お年寄りの反応がいまひとつのことがあります。これはお年寄りの実生活や実体験に重なっていないからです。

 

そこで人生紙芝居では「実体験」「昔の暮らし」「昔の仕事」を話題にします。

 

人生紙芝居の製作工程は9段階になります。

 

・主人公であるお年寄りの人生の聞き取り
・ストーリーを考える
・コマ割りをする
・下絵を描く
・色塗りをする
・縁取りをする
・台紙に貼る
・台詞を考える
・演じ方を練習する

 

 

 

【回想法とは】

 

回想

 

回想法とは、昔を思い出して、皆で語り合うことで楽しい気分や幸せな気分になること。そして、それにより認知症やうつ病の症状を改善させることが目的です。

 

施設の介護職員や仲間、家族の皆で昔のことを語り合うことで、脳が活性化します。また皆と昔を懐かしむことで孤独でなくなり、生活にハリも出ます。家や自室に閉じこもることも防げるでしょう。

 

昔話をすることで自分が主人公になります。誰もが皆、昔があります。昔話は居心地のよい場所を作るのです。そして昔話にはお金がかかりません。すぐに居心地のよい空間を作れます。

 

誰にも嬉しい、悲しい、凄い物語が記憶にあります。この記憶を皆に話すことで、皆に共通の認識が生まれます。それが仲間意識を作るのです。

 

 

 

【回想法の形式】

 

家庭訪問

 

回想法の形式には、以下の2種類があります。

 

・一対一でする個人回想法
・6人から8人でするグループ回想法

 

人生紙芝居をつくる場合、主人公になる本人に人生を語ってもらいます。場所は落ち着いて聴き取りできる自宅がおススメです。

 

もし本人が十分に語ることができなければ、奥さん(旦那さん)や子供に同席してもらいます。仕事に関する知識などを掘り下げたければ職場の同僚に参加してもらってもいいですね。その点で人生紙芝居は個人とグループ回想法の中間の形式といってもいいでしょう。

 

 

 

【聴き取りのポイント】

 

面談

 

人生紙芝居をつくるためには聴き取りが重要です。だからといって昔のことをとにかく話題にすればいいわけではありません。

 

自分が過去に「体験したこと」を「感情をこめ」「映像が見える」ように話してもらいます。楽しい記憶はすべて映像で記憶されています。

 

回想法は気持ちや意見を相手に伝えるための技術です。基本は「相手の話を聞く」「自分が話す」ことの繰り返し。ただし、聴き取りは調査や面接ではありません。昔の写真アルバムをみながら、楽しく自然に話してもらうよう意識してください。

 

とくに施設では職員も忙しく、本人の過去話を聞いたり自慢話を聞く機会がありません。けれど認知症の人も自分にむきあって話を聞いてくれる人を待っています。

 

じっさい、回想法は病院の物忘れ外来や老人保健施設、老人ホームなどでも実施されています。

 

 

 

【回想法の留意点】

 

会話

 

回想法とは、昔の記憶を会話などを用いて脳によみがえらせる活動です。

 

認知症の場合、近い記憶からだんだんと失われ、つぎに遠い記憶が失われていくといわれます。そのため、数分前のことは忘れても、古いことはしっかり覚えていることがあるくらい。

 

回想法を使ったゲームや聴き取りで留意する点をあげておきます。

 

・話すときは大きな声でゆっくり、はっきりと
・おもしろく、楽しく、喜びの会話を心がける
・うなづいて話の次をうながす
・否定や訂正をしない
・集中して話を聞く

 

 

 

【ハリウッドに学ぶストーリーの作り方】

 

ハリウッドスター

 

ハリウッド映画には、いくつかのパターン(流れ)があります。その流れを紙芝居でも使わせてもらいましょう。

 

たとえば、こんな話は面白いと感じますか。金持ちの家に生まれた主人公が何の苦労もなく、年齢を重ね、幸せな結婚をして子どもや孫をさずかり、老衰で死ぬ。ああ、幸せだったな。面白くありませんよね。なぜなら何の山場もないからです。感動もしません。

 

ハリウッド映画のパターンは簡単です。

 

・あるところに主人公がいました
・とつぜん、苦労がやってきました
・その苦労に立ち向かう主人公
・努力して努力して何度もくじけそうになっても立ち上がります
・さいごは苦労に勝ってハッピーエンド

 

ボクシングの選手の主人公が、負けても負けても練習をして、さいごは王者に勝つ。多くのライバルたちの妨害や嫌がらせ、たくさんの罠に立ち向かって、秘宝を手に入れる主人公。過去や未来に行って現在の不幸をやり直す主人公たち。A級スパイが味方に潜む二重スパイに罠にかけられピンチに陥るも逆転するストーリー。巨大な怪獣に国民が全力で立ち向かって撃退するお話。

 

わたしたちがどこかで見た映画もこのパターンです。昔話のシンデレラ、赤ずきんちゃんも苦労をしますが、最後は幸せで終わります。

 

どんな人にも苦労や悲しかった出来事があります。その出来事を山場にもってきて、さいごは「あの時は大変だったけれど、今は幸せな気分だよ」で締めくくるといいでしょう

 

 

 

【人生紙芝居の活用法】

 

コピー機

 

高齢者から聴き取りをして人生紙芝居が完成しました。完成した人生紙芝居を皆の前で発表しましょう。けれど、それで終わりではありません。

 

人生紙芝居には、いくつもの活用法があります。

 

・カラーコピーをして、誕生日に本人や家族にプレゼントする
・カラーコピーして、表に文章を入れ台紙に貼り付けて絵本にする
・絵をパソコンに取り込んで、カレンダーや年賀状に使う

 

カラーコピーで複製すれば、本人や家族がいつでも楽しむことができます。原本が無事ならば何度でも複製できるのもいいですね。

 

本人がお亡くなりになったとき式場の入り口に展示したり、祭壇に飾る遺族もいます。

 

 

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>>>認知症になりにくい食事とは