ビールのホップに含まれるイソα酸が低下した認知機能を改善
キリン株式会社(社長 磯崎功典)の健康技術研究所(所長 近藤恵二)は、東京大学、学習院大学と共同で、ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸がアルツハイマー病発症時の海馬の活動を改善することで、低下した認知機能を改善することを世界で初めて解明しました。
(出典 KIRIN ホップ由来ビール苦味成分の短期的な摂取が低下した認知機能を改善する機序を世界で初めて解明)
実はビールに含まれるイソフムロン(ホップの成分)の抗酸化作用のほうが赤ワインのレスベラトロール(ポリフェノールの成分)より強いことがわかってきました。イソフムロンには、ほかにも認知症を止める神経細胞保護作用や抗炎症作用など、健康にいいさまざまな薬理作用があることが解明されてきています。
(角川SSC新書 戸部廣康・著 ビールは、本当は体にいいんです!より引用)
ビールは大麦、ホップ、および水だけを使って醸造せよ。
現在もドイツで守られているビール純粋令。このビールに欠かせない原料のひとつ、ホップ由来のイソα酸が低下した認知機能を改善することが解明されました。
【イソα酸とは】
ホップはアサ科のつる性植物。ホップ樹脂内の成分であるフムロン、コフムロン、アドフムロンといわれる化合物が通称α(アルファ)酸。ルプロン、コルプロン、アドルプロンといわれる化合物は通称β(ベータ)酸です。
α酸は低温では水に溶けず、高温で溶けてイソα酸という化合物に変化して苦味成分になります。
【イソフムロンとは】
ビールのホップには、ワインのポリフェノールにも負けないほどの抗酸化作用があるイソフムロンという物質が含まれています。
イソフムロンは、ホップに含まれるフムロンがビールの醸造中に加熱されることによって変化してできる物質です。そのため生ビールやドラフトビールよりもラガービールに多く含まれています。
イソフムロンはホップの一成分であり、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロンの3つを含むものがイソフムロン類と呼ばれています。
豚の脳細胞を使った実験では、イソフムロンに細胞が死にそうになったとき抑える働きがあるという結果がみつかっています。
またキリンホールディングスは「イソフムロンは抗酸化、抗糖化、抗動脈硬化作用を有する」という報告もしています。
【イソフムロンの摂取方法】
ビールの苦み成分であるイソフムロンはビールに多く含まれています。しかしビールにはアルコールが含まれているため、飲みすぎには注意が必要です。
アメリカの大学の研究結果によれば、ビールやワイン、蒸留酒の適量の飲酒は認知症のリスクを低減させる可能性があると発表されました。
36万人以上のデータを分析した結果、男性で1日500CC、女性で1日250CCの飲酒をする人は、認知症、アルツハイマー病、認知機能障害の発症率が23%低いことが判明しています。
(2011年 米国ロヨラ大学シカゴ校ストリッチ医学部研究チームによる)
大量のアルコール摂取は体を壊します。夕食時に飲む適量は、男性で純アルコール換算で20グラム、ビールで中瓶1本までとします。アルコールが苦手な人、高齢者はホップ成分を含んだノンアルコールビールを飲むといいでしょう。
一般のビールはイソα酸が10〜30ppm含まれています。苦味の強いビールのほうがイソα酸は多く含まれます。ノンアルコールビールにもイソα酸は12〜30ppm含まれています。
ただし、日本のノンアルコールビールはホップ以外に人工甘味料など各種添加物がはいっています。そこで通常のビールと同じ材料を使ったドイツのノンアルコールビールがおススメです。
ほかにもホップ成分を含んだサプリメントも売られています。
【脳内のお掃除細胞・ミクログリア】
脳内のお掃除細胞と呼ばれるのが脳内唯一の免疫細胞ミクログリアです。
ミクログリアはアミロイドβなどの老廃物を食べて除去します。ほかにも脳内の組織の修復やシナプスの伸長などを日々おこなってくれるほか、ウイルスが侵入してきたとき防御してくれます。
けれど加齢によってミクログリアの機能が低下すると、とうぜんアミロイドβを除去する機能も低下します。そこでイソα酸の出番。イソα酸にはミクログリアを活性化させる効果があります。
ちなみに、イソα酸はビールの醸造過程でα酸が加熱されることによって誕生します。だからホップを食べるだけでは認知症の予防効果は期待できません。
またイソα酸には生活習慣病の予防、痩身、血圧改善、白髪抑制などの効果も期待できるとのこと。
【正しいビールの飲み方】
アルコールが含まれるビールは適正飲酒が基本。自分の適量を知り、週に二日は休肝日をつくりましょう。
適正な飲酒の基本は、楽しく飲む、食べながらゆっくりと適量を飲む、休肝日をとる、一気飲みしない、薬と一緒に飲まない、女性は妊娠中と授乳期は避ける、飲酒後の運動や入浴には注意する、肝臓など定期健診をする。
未成年者の飲酒は法律で禁止されています。とくに未成年者の一気飲みによる急性アルコール中毒は場合によっては命にかかわります。
未成年者はアルコールの代謝能力が不十分なため、体への影響も大きく、比較的少量のビールでも肝臓障害、脳の萎縮、生理不順、インポテンツなどが起こりやすいことがわかっています。
【アルコールによる脱水にご用心】
「ほとんどの認知症患者は脱水症状をおこしている」と国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁先生は言っています。
飲酒するとアルコールの利尿作用によって脱水しやすいので、お酒を飲んでいるあいだはこまめに水分補給しましょう。水を飲むことで胃腸内のアルコール濃度を薄める効果があります。
たとえば日本酒造組合中央会は、日本酒を飲むさいに「酒と同量の水を摂取する」ことを推奨しています。
【ビールに含まれるプリン体と通風】
通風の原因となる尿酸のもとはプリン体です。プリン体は体内で代謝されると尿酸に変わります。尿酸は水に溶けにくく、尿で体外に排出されにくい物質です。通風は血中の尿酸値が上昇し、結晶が足の指先などに溜まり、炎症を起こし激痛が伴います。
ビールは確かに他のお酒よりもプリン体が多く含まれていますが、よほど飲みすぎたりしないかぎり、健康な人であれば大きな問題はないでしょう。
気をつけたいのは食事からのプリン体摂取です。たとえばレバーや赤身の魚、干物などはビールの20倍から40倍以上のプリン体が含まれています。
【その他のビールの効能】
フランシーン・グロッドステイン博士の論文によれば、適量の飲酒と記憶力の向上には長期的な関係があることが発見されています。1万2000人の元看護士のデータを集めて分析したところ、4年以上ビールを1日に1杯飲んでいる高齢の元看護士たちは、認知機能が低下するリスクが15〜20%低かったことがわかりました。
フィンランドの研究では、ビールは水分が多いおかげで腎臓結石ができるリスクを40%減らすといいます。
またビールには骨を丈夫にする効果のある栄養素のケイ素が豊富に含まれています。
カリフォルニア大学デービス校の科学者たちは、ビール1リットルあたりにケイ素が平均30ミリグラム含まれていることを発見しています。
【ホップ・サプリメントの活用】
ホップには女性ホルモン様作用、鎮静・睡眠誘導効果、消化改善効果のあることが古くから知られていました。
ただし、ホップにこのような効果があるとしても、ホップの含まれているビールをただ飲めば実験と同様の効果が得られるわけではありません。
試験はホップに含まれる特定の成分を分離・濃縮したうえ、試験を行っているからです。日常、ビールを飲めば得られる分量ではありません。
そこでサプリメントの出番です。
サプリメント(栄養補助食品)とは、ビタミンやミネラル、アミノ酸、タンパク質といった栄養素やハーブなどの有効成分まで、体に良いとされている食品成分を含んだ加工された製品です。
食事だけでは必要な栄養素を満たしていないひと、病気にかからないように念のために多めに摂取しておこうと考える人がサプリメントを利用しています。食事が忙しくて栄養バランスのよい食事を規則ただしく摂れない人は「栄養の保険」として摂るといいでしょう。
ビタミンCを摂るためにオレンジジュースを大量に飲めば糖分も同時に摂取するため肥満になる可能性があります。ビールの場合、アルコールが含まれているためアルコールが苦手だったり、飲めない人はサプリメントからホップだけを摂取すればいいのです。
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