失禁(おもらし)をしてしまう

失禁(おもらし)をしてしまう

 

【失禁(しっきん)とは】

 

失禁とは、尿や便が本人の意思とは無関係に出てしまうこと。

 

トイレが汚れる、した後に流さない、トイレ以外の廊下や壁、畳でしてしまうなど、失禁は認知症の介護の中でも困ることのひとつです。

 

認知症が進行すると、空間を認識する能力が低下し、トイレの場所がわからなくなります。ほかにもゴミ箱に排泄したり、トイレでない廊下の壁、洗面所、和室の床の間などで用を足します。

 

アルツハイマー型認知症になると、大半の人に失禁がみられます。

 

 

 

【失禁の原因】

 

 

認知症になると、脳の機能障害により、尿意や便意がわからなくなることがあります。

 

また、服の脱ぎ方がわからない、トイレの使い方がわからない、なんてことも。そして、見当識障害になるとトイレの場所がわからなくなります。

 

尿失禁には大きくわけて、尿意がありトイレに行くが途中で漏らしてしまう場合と、尿意がなく知らないあいだにもれてしまう場合の2つの原因があります。

 

 

 

【本人の気持ち】

 

 

・わたしじゃない
・おもらしした自分を認めたくない
・落ちこむ
・汚れた下着を隠す
・恥ずかしい。家族に知られたくない(自信喪失)
・トイレまで、とても間に合わない(焦り)
・トイレくらい一人でできる(プライド)
・馬鹿にするな
・ドアの色が同じで、どこがトイレかわからない(混乱)
・洋式の便器を見てもトイレだと思えない
・トイレが見つからないから、庭でしたつもりだった(困惑)
・失敗すると、また叱られる(恐怖)
・オムツをしろとは言われたくない
・とりあえず隠しておこう(けれど、隠したことを忘れる)

 

記憶障害によって、物忘れが進行すると、自分がおもらししたことを認められず、嘘をついたり、失敗した証拠(汚れた下着)を隠そうとします。

 

叱る、怒るなどの対応をすると、本人は委縮し、なかには家族への反感をもつ人もでてきます。失禁では、本人が一番つらいことを理解して対応しましょう。

 

 

 

【失禁で気をつけたい対応】

 

 

トイレの失敗は、とてもデリケートな問題です。人間の尊厳の問題といってもいいでしょう。本人を叱ったりせず、おだやかに対応します。無神経な言葉で本人を傷つけないよう注意が必要です。

 

否定したり、隠すのは恥ずかしいから。叱ると、叱られたという負の感情が残り、また叱られたくないという気持ちが生まれます。

 

・説得する
・汚い!と強い言葉をかける
・安易にオムツを使う
・こんなところに隠しちゃダメ!
・また漏らして!と責める
・そんなこともできないの!と叱る
・あー、そこはダメ!と大声をあげる
・今度漏らしたらオムツですよ!(脅す)
・だから部屋がくさかったのね

 

 

 

【失禁で望ましい対応】

 

 

・あらかじめ、トイレや壁など汚される場所に防水シート、ビニールシートなどを貼っておく
・叱っても失禁は直らないことを知っておく
・トイレへの道順を壁に貼っておく
・夜間は、トイレや廊下の明りをつけておき、トイレのドアを開けておく。
・トイレのしやすいパジャマや服を着用させる
・時間を決めてトイレに誘う
・落ち着かない様子だったら、トイレに行きましょうと声をかける
・本人の自尊心を大切にする
・トイレですることをあきらめない
・叱らない、大騒ぎしない
・ケアマネジャー、相談員などに相談する
・「洗濯するから、ほかにもあったら出してね」とやさしく言う
・もしも間に合わなかったら、やさしく声をかけ、後始末をする
・夕方以降の水分摂取を控える
・汚れた下着や衣類をみつけたら、本人に黙って処分する

 

 

 

【排せつのサインを見逃さない】

 

 

人によって排せつのパターンが存在します。排せつのサインには、以下のものがあります。

 

・そわそわする
・きょろきょろする
・落ち着かない
・うろうろする
・ズボンを下げる
・機嫌が悪くなる

 

 

 

【安易にオムツを使わせない】

 

 

安易にオムツを使わせないようにします。自分でトイレができない、オムツをしなければならない状態になると、落ち込んだり、ショックを受けたり、老いを憂い、あきらめがおこるかもしれません。

 

できるかぎり自分の力でトイレをすませてもらいましょう。自分でなんとかしよう・・という気力が萎えてしまうと、一気に認知症は進行します。

 

認知症の人は、立ったり座ったりができるため、トイレが遠いのであればベッドサイドにポータブルトイレや、ベッドサイド水洗トイレを置きます。

 

 

 

【病気を疑う】

 

 

何度もトイレに行きたがる場合は、男性なら前立腺肥大症や膀胱炎、女性なら膀胱炎や子宮がんなどが頻尿の原因になります。

 

高齢者は便秘になると、落ち着きがなくなり、トイレに何度もいくようになります。あまり頻繁にトイレに行く場合、一度病院で検査をしてもらいます。

 

病気が頻尿の原因でない場合、トイレの失敗に対する恐怖心からもおこります。

 

 

 

【運動やメリハリのある生活をさせる】

 

 

運動不足やメリハリのない生活、熱中する趣味がない場合も、排せつ機能を鈍らせます。介護施設のデイサービスやショートステイを活用して、様子をみてもいいでしょう。

 

熱中できる趣味をみつけると、感覚が戻ることもあります。

 

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>>>便をいじる、便を壁などになすりつける(弄便)